成年年齢引き下げによって養育費への影響はある?

2023/4/25

 

2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられました(「民法の一部を改正する法律」)。
成年年齢の引き下げにより、養育費の終期(支払い終わりの時期)は18歳となるのでしょうか。
法改正前に既に養育費について取り決めをしていた人、これから取り決めをする人、皆様気になるところと思います。

今回は、この成年年齢引き下げによる養育費への影響をご紹介いたします。

1 養育費いつまでもらえる?(支払い終期)

養育費とは、「子どもの監護や教育のために必要な費用」のことをいいます。
親は子どもが未成熟である間、扶養義務を負っており、養育費の支払義務が生じます。養育費はあくまでも「未成熟な子ども」に対するものであり、「未成年」に限られるものではありません。

では、養育費はいつまでもらえるのでしょうか?
「未成熟」であるか否かは子どもの能力や家庭環境などによって判断されますが実際には20歳を境に判断することが多く、大学進学する子どもも多いことから、大学卒業時(22歳)まで支払う場合が多いです。

2 成年年齢引き下げの影響はある?

成年年齢が引き下げられたことにより、養育費の支払い終わり時期も18歳に変更となるのでしょうか。
これについて、養育費に関する基本的考えは今まで通りとなり、成年年齢引き下げにより直ちに支払い終わりが18歳になることはありません。

3 養育費は一律で18歳までにならない

(1)確定期限を定めていた場合

養育費の支払い終わり時期について、「20歳の誕生日の属する月まで」「20●●年●月●日」等、客観的に明らかな終期を定めていた場合は、文言通りその時期まで支払義務が継続します。

(2)成年と成人の年齢

日時などの具体的な終期ではなく「成年に達するまで」と取り決めしていた場合、成年引き下げにより18歳が支払い終期となるのでしょうか?答えはNOです。
養育費の取り決めをした時点で「成年=20歳」と考えていたことからも、法改正後も養育費に関しては解釈により「成年=20歳まで」と考えます。
法務省においても同様の考えを採用しています
成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について)。

(3)養育費の取決めがない場合 ※大学進学で18~22歳の場合など

新たに養育費の取り決めを行う場合であっても、成年年齢引き下げにともなって養育費の支払い終期が18歳になるものではありません。
前述の通り、子どもが未成熟でなくなるまでの間、親には養育費の支払い義務が生じます。
具体的な養育費の支払い終期は個別具体的に協議し取り決めますが、一般論として20歳を中心として概ね18歳から22歳(大学卒業時)までの間で設定することとなります。

4 まとめ

養育費は子どものための権利です。
成年年齢引き下げによっても養育費の支払い終期自体が短くなるものではありません。
成年年齢引き下げにより養育費の減額調停を申し立てられるケースもあるかと思います。
新たに取り決める中で18歳までと主張するケースも出てくるかと思います。
新たに養育費について取り決めを行う場合、かつての取り決めを変更する場合、養育費の協議についてお困りの方は弁護士にご相談下さい。


執筆者:弁護士 稲生 貴子

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