不倫が原因で離婚する方法と手順について
2023/2/10
配偶者が不倫をしていた!
配偶者の裏切り行為により、怒り、悲しみ、許せない等の気持ちとなり、離婚を決意した人も多いのではないでしょうか。
離婚を決意しても、
■事前に何を決めておけばよいの?
■配偶者が離婚を拒否している・・・
といった色々な疑問や心配事は尽きないことでしょう。
今回は、夫(妻)の不倫を理由に離婚をする場合の手順について解説いたします。
1 不倫を理由とする離婚
配偶者の不倫を理由に離婚できるのでしょうか?
⑴ 夫婦の間で合意がある場合
離婚は夫婦の合意があれば、理由を問わず離婚を成立させることが可能です。
夫婦で署名押印した離婚届を役所に提出すれば離婚は成立し、特に離婚原因を問われることもありません(協議離婚)。
⑵ 不倫をした配偶者が離婚を拒否する場合
離婚条件について合意できない場合や、相手方が離婚そのものを拒否している場合、すぐに離婚はできません。
その場合、まずは離婚調停を家庭裁判所に申し立て、調停不成立となれば、離婚訴訟で離婚を争うこととなります。
離婚訴訟にて離婚が認められるためには、民法770条1項で定められた離婚原因が必要となり、配偶者の不倫も離婚原因の一つとなります。
民法770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、裁判の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
⑶ 不倫をした配偶者が離婚を望み、相手方が離婚を拒否した場合
不倫をした側が離婚を望む場合、裁判所は認めるのかという問題があります。
この問題についてかつて最高裁は、有責配偶者からの離婚請求は許されないという立場を採用していました。
しかしこの判例を一部変更して、有責配偶者からの離婚請求であっても、一定の要件のもと(別居相当長期、未成熟子がいない)、著しく社会正義に反するような特段の事情の認められない限り、有責配偶者からの請求であることの一事をもって許されないとすることはできないとされています。
2 離婚協議のスタート
まずは、夫婦間の話し合いで解決を図る余地がある場合は、可能な範囲で離婚協議を始めましょう。
話し合いで相手方や不倫相手に言い逃れされないためには、事前に不倫の証拠を集めておくことが重要です。
証拠については、
■夫(妻)と不倫相手とのLINEやメール
■二人でホテルに出入りする写真
■SNS、本人の自白等
様々な証拠を集めておくことが効果的です。
証拠の確保が難しい場合は、探偵への依頼も選択肢の一つです。
探偵に調査を依頼する場合は、調査方法や費用等が事務所によって大きく異なるため、事前に数社を比較検討してもよいでしょう。
3 離婚に向けて決めておくポイント
離婚協議で、離婚時に定める必要がある、又は定めておいた方がよいポイントは次の通りです。
①親権
②(子どもがいる場合)養育費 (離婚成立までの間は、子どもの有無に関わらず婚姻費用)
③財産分与
④面会交流の方法
⑤年金分割
⑥慰謝料
等も決めておいた方がよいです(①親権は、離婚時に定める必要があります)。
なお①親権については、現在国会で共同親権も選択可能とする改正民法案が審議されています。
※国会で審議中の「共同親権」について
(https://takiilaw.com/news/lawyers-column/5414/)
※民法等の一部を改正する法律案
(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00348.html)
4 まとめ
離婚の際、親権、財産分与等、色々なことを決める必要があることから、精神的負担は想像以上に大きいものとなります。
法律上の問題が複雑に絡み、専門的知識が必要となるケースも多々あります。
特に配偶者の不倫による離婚の場合は、配偶者に裏切られたということで精神的に参りご自身で判断することができず、一人で悩まれる方も少なくありません。
ご自身のケースではどのような請求が可能か、どのような方法を選択することがベストなのか等、一緒に検討させていただきます。
一人でお悩みになることなく、一度弊所までご相談下さい。
執筆者:弁護士 稲生 貴子