破産の免責不許可事由とは~不当な債務負担行為~
2024/9/4
多額の借金を抱え、返済が困難になった場合は自己破産を検討することになります。
自己破産をすると、裁判所の審査を経て借金の支払義務を免除してもらうことができます。このことを免責といいます。
もっとも、自己破産をしても、破産に至る経緯や自己破産申立後の破産者の対応によっては免責不許可事由に該当し、免責が認められない場合があります。
今回は、免責不許可事由のうち、不当な債務負担行為(破産法第252条第1項第2号)について解説します。
破産法第252条第1項第2号は、「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。」が免責不許可事由になると規定しています。
1 「著しく不利益な条件で債務を負担し」とは
「著しく不利益な条件で債務を負担し」とは、債務者の置かれている状況下で、弁済期、利率、担保などが、著しく経済合理性を欠く条件で債務を負担したことをいいます。
例えば、法外な利率で貸付けを行う闇金から借り入れをするなどはこれにあたります。
2 「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」とは
「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」とは、例えば、クレジットカードで金券を購入し、すぐに金券ショップで売却する行為はこれにあたります。
返済の目途がないにもかかわらず、クレジットカードを利用し、商品を購入することは、免責不許可事由にあたり得るだけでなく、詐欺罪にもあたり得る行為なので、絶対に行わないように注意しましょう。
3 「破産手続の開始を遅延させる目的」とは
上記のような、不当な債務負担行為や不利益な条件での処分行為があった場合でも、それだけで免責不許可事由になるわけではありません。
債務者が、これらの行為があった時点で「破産手続の開始を遅延させる目的」を有していることが必要です。
「破産手続の開始を遅延させる目的」とは、債務者が自己の資力では返済が不可能な状態であることを認識し、破産手続を遅らせるために不当な債務負担行為や不利益な条件での処分行為を行うことをいいます。
4 まとめ
破産手続きの開始を遅延させるために、不当な債務負担行為や不利益な条件で処分することは、免責不許可事由に該当します。
免責不許可事由に該当する場合でも、行為態様、破産に至る経緯、債権者の事情、反省の程度等の様々な事情を考慮して、免責が認められる場合があります。
このことを裁量免責といいます。
免責不許可事由に該当する事情があったとしても、その後の対応によっては裁量免責が認められる余地は十分あり得るので、まずは弁護士にご相談ください。弊所では、債務整理の初回相談は無料で受け付けております。
執筆者:弁護士 森本 禎
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