まさか自分の配偶者が不貞?問い詰める前に取るべき証拠とは

2020/5/28

 

こんにちは。
弁護士の前川です。
皆さんは、配偶者の不倫が疑わしい場合、どうするでしょうか。
いきなり問い詰めてしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、弁護士の立場からは、いきなり問い詰めるよりも、まずは不倫の証拠を取得したほうがいいことが多いと言えます。
今回は、配偶者に問い詰める前にまず取得しておいていただきたい証拠について、お話します。

1 何のために証拠を集めておくのか

まず、不貞の証拠を集めておくとよいのは、(1)慰謝料請求をする場面と、(2)離婚の場面です。

(1)慰謝料請求をする場面

配偶者が不貞をした場合、配偶者と不貞相手に対し、慰謝料請求をすることが考えられます。
配偶者と不貞相手に対して不貞を問い詰めた場合、すぐに支払ってくれればいいですが、言い逃れされてしまうと、どうしようもありません。
他方、先に証拠を集めておけば、最終的には訴訟によっても請求できます。
また、訴訟で負けるのであればと、早々に支払われる可能性も高まります。
そういう意味で、まずは、証拠を集めておくのがよいでしょう。
最終的には訴訟をも見据えることを前提に、不貞相手にも慰謝料請求をするという場合には、不貞相手の情報(住所、電話番号等)を取得しておく必要もあります。

(2)離婚の場面

配偶者の不貞が発覚したとき、(A)配偶者と離婚をしたいと思う場合(B)配偶者から離婚を切り出される場合があります。

(A)配偶者と離婚をしたいと思う場合

配偶者と離婚をしたいと思っても、相手が応じてくれなければ、最終的には訴訟となります。
訴訟では、法定の「離婚事由」がなければ、離婚の判決をもらうことができません。
配偶者の不貞は、法定の「離婚事由」に当たるので、最終的に訴訟になったとしても、離婚判決をもらうことができます。
ただし、訴訟では不貞の「証拠」が必要となるので、これを集めておく必要があります。

(B)配偶者から離婚を切り出される場合

逆に配偶者から離婚を切り出されることも考えられます。
それでも、お子さんがまだ幼いなどの理由から、離婚はしたくないということもあるでしょう。
この場合、裁判所は、不貞をしておきながら、配偶者と幼い子を見捨てることを許しません。
もっとも、Ⓐと同じく、訴訟では不貞の「証拠」が必要となるので、これを集めておく必要があります。

2 どんなものが「証拠」になるのか

前提として、裁判所で不貞行為があったと認められる「不倫」とは、原則として、配偶者と不貞相手との性行為をいいます。
不貞行為の証拠として考えられるのは、以下のようなものです。

(1)写真、録音、動画

直接的な証拠としては、性行為中の写真、録音、動画などが考えられます。
画質や音質によっては、言い逃れの可能性を残してしまいます(もっとも、言い逃れされたからといって、必ず裁判で勝てないというわけではありません。)。
直接的なものでなくとも、性行為をしたことが推認できる写真、録音、動画があれば、これも証拠となり得ます。たとえば、ホテルに一緒に入り、数時間後に出てくる写真、過去の性行為の内容について話す当事者間の会話の録音や動画がこれに当たります。

(2)探偵の報告書

上記のような写真、録音、動画などは、探偵の調査によって手に入れてもらう方法も考えられます。これによって、不貞相手の個人情報も取得できる可能性があります。

(3)メール、メッセージアプリ、SNSなどでのやり取り

性行為をしたことが推認できるものとしては、当事者間のメッセージのやり取りも考えられます。
たとえば、過去の性行為の内容についての当事者間のやり取りがこれに当たります。

(4)ラブホテルのレシート

ラブホテルのレシートなども、配偶者が不貞をしたという証拠となり得ます。
ただし、レシートのみでは、不貞相手が誰であるかまではわからないかもしれません。

3 さいごに

直接的な「証拠」がなくとも、いくつか組み合わせれば「証拠」となることもあります。
慰謝料請求や離婚を有利に進めるためにも、まずは、弁護士にご相談ください。


執筆者:弁護士 前川 恵利子

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