データ戦略法務
2019/6/6
こんにちは。
人工知能(AI)、IoT等の急速な技術発展により、顧客等から収集した大量のデータ(いわゆる、「ビッグデータ」)に価値を見出し、利用する動きが見られます。
企業だけでなく、日本政府も日本におけるデータビジネスを活性化させるべく、様々な分野においてデータの利用のための施策を推進しています。
大企業だけでなく中小企業もデータを利用して、企業の競争力を上げなければならない日も遠くはないでしょう。
今回は、データビジネスの典型例とデータ戦略法務(※著者の造語)について簡単に解説していきます。
1 データの利用場面
データの利用場面は多岐にわたります。
収集したデータを整理・分析して顧客のニーズを理解し、そのニーズに合った製品やサービスの開発・向上につなげていくというのが、データ利用の典型例です。
最近では、インスタ映えするメニューの開発、観光スポットの刷新など新しいサービスの提供がこれにあたります。
他にも、収集したデータから導き出した顧客のニーズにあった広告・プロモーション・マーケティングを実施するということも典型例の1つです。
有名企業ですと、Googleは収集したデータから顧客ニーズに合った広告を打ち出して莫大な広告収入を得ています。
これら以外にも、AIやIoTを用いて業務を自動化し効率を向上させるためにデータの収集・利用がされているなど、データの利用場面は非常に多く、これからどんどん拡大していくでしょう。
2 データ利用のハードル
以上のようにデータの利用場面が非常に多い反面、データ利用には様々なハードルがあります。
まず、データの取得から利用まで様々な法的規制があることです。日本はデータ利用についての著作権法や個人情報保護法等の法規制が多く、データを自由に利用することが難しい国といわれています。
現在は、これが緩和の方向に進んでおり、何が規制されており、何が規制されていないのかについて専門家による確認が必要です。
そして、不祥事の際のリスクです。
データビジネスにおける不祥事は、情報漏洩はもちろん、データの改ざん・隠ぺい等様々あります。
ベネッセの個人情報の漏洩のように、データビジネスの不祥事は注目を集めてしまうため、会社経営への影響は大きいです。
これを未然に防止するため、不祥事対応のための会社組織の整備とそれに基づいた不祥事発覚後の迅速な対応が必要となります。
3 最後に
弁護士に相談すると言えば、法律を守る、契約を守る等という「守り」のイメージが強いかもしれませんが、データ戦略法務は「守り」だけではありません。
ルールを守った上でのデータ利用の戦略を組み立て、「攻める」ためのビジネスツールにもなります。
ルールを知らずにスポーツを行うことはできないように、法務知識なくデータビジネスの戦略を立てることはリスク面など費用対効果の面でおすすめできません。
また、法令改正あるところにビジネスチャンスありとは、昔から言われているところです。法規制の変化を確認して何ができて何ができないのかの確認はビジネス上必須かと思います。
IT化が著しく進んでいく現代社会では、今までのように、法規制を守れているかの確認だけでなく、データを利用した「攻め」の戦略を立てるために、弁護士を使ってルールを確認しておくというのも1つの選択肢として考えてみてください。
法律の相談でなくとも構いません。
データを用いた経営をできないかと考えている方も、自分たちの会社で保有しているデータを使って新しいビジネスができないかと考えられている方も一度相談にいらしてください。
弊所では、法務の枠を超えて、新規ビジネス立上げに関する戦略立案、現状分析、数値目標設定、実行管理などについても、コンサルティング業務として複数案件請け負わせていただいておりますので、皆様のビジネスの発展の一助になれば幸いです。
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