遺言書作成のすゝめ ~よりよい終活のために~
2018/12/28
皆さんは、「終活(しゅうかつ)」という言葉をご存知ですか? 国語辞典には、「人生の最期に向けて準備をすること。自らの葬儀を生前にアレンジする、墓を購入するなど。」(三省堂『大辞林』)と書かれています。 平成21年ころに週刊誌が用いた造語ですが、最近ではすっかり一般的な言葉として定着したように思います。 本屋さんでも、終活関連の書籍が多く並んでいますよね。
1 エンディングノートと遺言書~2つの違い~
では、終活=人生の最期に向けた準備として、具体的にどのようなものがイメージされるでしょうか。 代表的なものとして、「エンディングノート」と「遺言書」の2つを挙げます。 どちらも「書く」という点では共通していますが、この2つの違いは何でしょうか。
(1)エンディングノート
エンディングノートは、「自分の終末期や死後について、その方針などを書き留めておくノート」のことをいいます(三省堂『大辞林』)。 もしものときに延命治療してほしいかどうか、葬儀はどんな風にしてほしいか、財産をどう処分するか、今まで支えてくれたご家族への感謝の気持ちなど、自由に書くことができます。 市販のものに手書きしてもいいですし、パソコンやスマートフォンで作成することもできます。 ただし、自由に書くことができる分、法的な効果はありません。 後になって家族がもめるかもしれない…そんな心配がおありの方にとっては、エンディングノートは心許ないかもしれません。
(2)遺言書
これに対し、遺言書は、「自分の財産を誰に、どれくらい残すか」について、法的な効果を与えるためのものです。 遺言にはいくつか種類があります。 代表的なものを簡単に説明すると、次のようになります。
①自筆証書遺言
自ら手書きしてするタイプの遺言(平成30年7月に法改正がなされ、平成31年1月13日から新ルールが適用されています。こちらの記事 で改めて説明しております。)
②公正証書遺言
公証人に遺言の趣旨を口で伝え、公証人に作成してもらうタイプの遺言。
③秘密証書遺言
自ら作成した遺言書(手書きでなくてもOK)を封筒に入れて、公証人に提出するタイプの遺言。 法的な効果という強い力を与えるためのものですから、いずれの方式も作成方法に厳格なルールがあります。 書き間違えた場合の訂正方法にも、それぞれの決まりがあります。 ルールに従わずに作られた遺言書は「無効」とされてしまいます。 とはいえ、ルールに従って作成しさえすれば、法的効果という強い力をもって、後のトラブルをかなり防ぐことができます。 このような理由から、エンディングノートが普及した現在においても、遺言書が作成されるケースが多いのです。
2 遺言書作成のすゝめ~お気軽にご相談ください~
相続は「争族」(=家族同士で遺産相続をめぐって争うこと)といわれることがあります。 相続を争族にしないためにも、後に残された家族どうしでトラブルが生じる可能性が少しでもあるならば、遺言書を作成することをお勧めします。 とはいえ、知識も経験もない状態でいきなり遺言書を作成するのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。 また、せっかく遺言書を作成しても、無効になってしまったら元も子もないですよね。 そのような場合は是非、弊所にご相談ください。 相続事件の経験豊富な弁護士が、相続に精通した税理士やファイナンシャルプランナー等とも連携し、相談者様のご希望に沿った遺言の方式選択、内容面・形式面等のアドバイスから、節税・相続税対策も含めた総合支援をさせていただきます。
執筆者:弁護士 森本 禎
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