債務整理の種類と特徴、注意点
2024/3/28
消費者金融からの借り入れや、クレジットカードのリボ払い、各種ローンの支払いなどで借金(債務)の返済が厳しくなった方でも、債務整理を行うことで、借金が減額・免除できる可能性があります。
債務整理とは、債権者との交渉や裁判所への申立によって、借金を減額・免除する手続きのことをいいます。
債務整理の方法は大きく分けて3つの種類があります。今回は債務整理の種類とそれぞれの特徴、注意点についてご紹介します。
1 債務整理の種類
債務整理は、大きく分けて以下の3つの種類があります。
⑴ 任意整理
任意整理は、債権者と交渉をして、3年から5年程度の長期間の分割により返済することを合意し、月々の返済額を支払い可能な額に減額する手続のことです。
任意整理をしなければ、返済残高に応じて返済が完了するまで契約で決められた利息の支払いをし続けなければなりません。
しかし、任意整理をすることで、債権者との合意の時点以降の利息(将来利息)は発生しないような取り決めも可能になり、実質的には借金の減額ができます。
⑵ 個人再生
個人再生は、借金を全額支払うことができなくなった債務者が、裁判所から再生計画の認可を受けて、借金を減額してもらう手続です。
減額された借金は3年から5年程で返済をしていくことになります。
後述の自己破産手続きは、住宅などの手持ちの財産は全て手放してお金に代えて債権者に分配しなければなりませんが、個人再生手続きには、住宅ローンがあっても、住宅資金特別条項といって、住宅ローンの返済を継続することで、住宅を手放さずに借金の減額が可能になります。
⑶ 自己破産
自己破産は、借金を支払うことができなくなった債務者が、借金の免除を求めて裁判所に申し立てる手続です。
どうしても借金が返せない場合の最終手段ですが、借金を返さなくてよくなる半面、手持ちの財産は、生活に必要な最低限度の分を残して債権者に分配しなければならなくなったり、破産手続中は一定の職業に就けなくなったりします。
2 債務整理の特徴と注意点
各手続の特徴と注意点は以下のとおりです。
⑴ 任意整理
ア 特徴
①返済の期間を3年から5年程度の分割払いにすることができる
②債権者との合意の時点以降の利息(将来利息)をカットすることができる
③特定の債権者のみと交渉をすることにより、自宅や自家用車を手放さなくて済む
④過払い金があれば借金を減額したり、返還請求ができる
イ 注意点
①信用情報機関(CIC,JICCなど)に事故情報が登録され(ブラックリストに載る)、新たな借り入れが一定期間できなくなる可能性がある
②銀行ローン等を任意整理した場合、口座が凍結される
③保証人がいる場合、保証人が請求を受ける
⑵ 個人再生
ア 特徴
①借金の額を5分の1から10分の1程度に減額できる
②返済の期間を3年から5年の分割払いにすることができる
③自宅を手元に残せる可能性がある
イ 注意点
①官報に住所や氏名が掲載される
②ブラックリストに載り、新たな借り入れが一定期間できなくなる
③保証人がいる場合、保証人が請求を受ける
⑶ 自己破産
ア 特徴
①ほぼ全ての借金が免除され、返済の必要がなくなる
②債権者からの差し押さえが中止になり、一部の財産を守れる可能性がある
イ 注意点
①官報に住所や氏名が掲載される
②ブラックリストに載り、新たな借り入れが一定期間できなくなる
③保証人がいる場合、保証人が請求を受ける
④一部の最低限の財産を除き、自宅や保険など、全ての財産を手放さなければならない
⑤破産手続中は一部の職業に就けなくなる
⑥破産手続中は旅行や引越しが制限される
⑦借金の経緯などの事情によっては借金の免除が認められない場合がある
3 おわりに
今回は債務整理の種類とそれぞれの特徴、注意点をご紹介しました。
どの手続きを選択して債務整理を進めていくかは、借金をした経緯、借金の額、収支、財産状況、将来の収支の見通し、職業などを踏まえて慎重に検討する必要があります。
借金の返済にお困りの方は、早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
執筆者:弁護士 森本 禎
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