終活、準備はできていますか?始めるタイミングについて
2023/6/28
近年「終活」という言葉も世間の認知を得てきたように思います。
自分にはまだ早いと思っている方も、既に準備を始めている方も、「終活」は自分の死後に関することのため不安は尽きないと思います。
終活は何歳から始めたらいいのか、何から始めればいいのか、終活について解説します。
1 終活とは
「終活」とは、専門用語ではなく、人生の終わりに向けた「終わりための活動」の略称として広まった言葉です。
「人生の終わり」はいつ訪れるのか。
その時に後悔しないか。
やり残したことはないか。
自分が去った後に心配な事はないか。
自分の死後、自分自身では対応することができないため、事前の準備というのはとても大切です。
人には必ず人生の終わりが訪れますし、その時期がいつになるのかも分かりませんので、終活を始めるのに早すぎるということはありません。
2 終活をするメリット
(1)家族の負担を減らす
葬儀はどうするのか、お墓はどうしたらいいのか。
なにも知らされないままその時を迎えた家族は、あなたがいなくなった悲しみ以上に、決めなければならないこと、やらなくてはならないことに追われます。
自身の希望をエンディングノートに書き残しておけば、家族はそれを見ながら、その後のこと(葬儀、お墓、友人・知人への連絡、財産の保管場所の把握等)に取り組めます。
(2)人生の振り返り
終活には、自身の財産、資産や物品の整理、育んできた人間関係の再確認など、「これまでの人生を振り返っていく」という目的もあります。
「これまでの人生を振り返る」ことで、これまでの人生で起きた様々な出来事に関する記憶を呼び起こし、「会いたい」と思っていた人に連絡を取る契機になり得ます。
(3)残りの人生の充実
これまでの半生を振り返ることで、やりたかったこと、好きだったことを見つけられることもあります。
何歳からでも挑戦に年齢制限はありません。
やり残したことがある場合は、一つずつチャレンジしてみるのもよいと思います。
終活は、これから送っていく人生を、前向きに充実させていくための一助となります。
(4)トラブル回避
自身の死後、遺産を巡るトラブルを発生した場合、家族仲が悪くなり、いがみ合う関係になってしまう場合があります。
終活では、自身の財産の分配方法等、相続に関する事項について具体的に考慮することとなります。
場合によっては遺言書を作成するなど、家族間のトラブルを避けるために、最善の準備ができます。
3 終活で行う活動
では、「終活」とは、具体的に何をすればよいのでしょうか。
(1)エンディングノートの作成
エンディングノートには、介護、医療、葬儀、お墓のこと等、各事項に関連する情報や、自身の希望を書き留めます。
記載方法によりますが、遺言書と異なり、法的効力はありません。
形式は決まっていませんので、ご自身の好きなように好きなことを書くことができます。
趣味、好きな映画、好きな音楽、自分史を書いたり、好きな写真、CDなどを収納する方もいらっしゃいます。
自分が介護を受ける身となった場合、介護する方がエンディングノートを見て、自分のことを知ってもらえることもあるので、詳しく書いておくと、自分のためにも、介護者にとっても役立つノートになります。
また、万が一の場合に連絡してほしい人の連絡先や、自分の契約しているサービス(スマートフォンや定期購入等)、金融機関の情報や保険契約に関する情報など、を書いておくと、家族が助かることでしょう。
大切な情報を載せるノートになりますので、他人には見つからない場所に保管してください。
保管場所は信頼できる人に伝えておきましょう。
(2)遺言書の作成
家族のトラブルの元をなくすために、遺言書を作成しましょう。
これまでの記事でもお話してきましたが、遺言書作成には様々なルールがあります。
作成しても、法的に無効なものとなってしまうと意味がありません。
遺言書の作成に関しては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
・自筆証書遺言について~その1「一般的な書き方・訂正方法」~
・自筆証書遺言について~その2「平成31年1月13日からの新ルール」~
(3)相続税、贈与税に関すること
相続をする家族は、相続税を納めなければならない可能性があります。
実際の課税額は、「基礎控除」、「配偶者控除」等の各種控除の適用や、相続人の数でも、変わってきます。
相続税の課税が見込まれる場合は、家族が相続税の支払いに困らないよう、納税資金を準備しておきましょう。
現金と預金を一緒に相続させたり、生命保険の保険金の受取人に指定したり、対策は複数あります。
また、ご不安であれば税理士に相談しておくことも有用です。
4 終活を始めるための事前準備
終活には、事前の準備が大切です。
財産の種類ごとの注意点について解説します。
(1)財産の整理
ア 銀行口座
自分の名義の銀行口座を確認、預貯金の残高を把握します。
この時、もう使っていない口座は解約し、必要最低限の口座のみを残しておくことをお勧めします。
注意しなければならないのが、ネット銀行です。
実店舗も通帳もないネット銀行は見落とされやすく、相続手続から漏れてしまう可能性があります。
自身の死後、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書及び戸籍謄本など、様々な書類が必要となり、手続きが煩雑化します。
家族が漏れなく手続きできるよう、金融機関の情報をリスト化し、通帳や銀行 印等の保管場所も確認出来るようにしておきましょう。
イ 有価証券
有価証券についても同様です。
株式、小切手、手形など、価値のある有価証券については、証券会社から運用報告書などを送ってもらい、運用状況の把握及びリストを作成しておきましょう。
ウ 保険
自身が加入している保険を確認し、不要な保険は解約しましょう。
保険金の受取人、保険会社名、保険の種類、契約者名をリスト化しておくことをお勧めします。
保険証券も、通帳等と同様に保管場所を確認出来るようにしておきましょう。
エ 年金
自身が加入している年金の種類、年金の保管場所、年金の受取口座をリスト化しておきましょう。
オ 貴金属、車など
貴金属、車、美術品、記念切手や骨董品は相続財産に当たります。
市場価格が変動しやすいため、トラブルの元となる可能性があります。
手元に置いておきたいもの以外は、鑑定等を行って売却し、現金に換えておくことをお勧めします。
カ マイナスの財産
借金や未払金があり、それがプラスの財産を上回る場合、相続人が「相続放棄」を選択する可能性があります。
万が一、先にプラスの財産を相続してしまうと、相続放棄が出来なくなる可能性があります。
家族が困らないよう、借入先や借入金額、未払金とその支払先についてもリストにまとめておきましょう。
なお、相続放棄についてはこちらの記事もご覧ください。
(2)デジタルデータの整理
デジタル上にあるデータの整理も行っておく必要があります。
パソコンやスマートフォンなどに保存してある写真や動画、メールや電話帳に、ウェブサイト、ウェブサービスのID、パスワード等アカウント情報など、死後にどうしてほしいかをエンディングノートに記載しておくとよいでしょう。
見られたくないデータについては削除しておきましょう。
見てほしい、残しておいてほしいデータがある場合は、その旨も忘れずエンディングノートに記載してください。
(3)身の回りの整理
体力があるうちに、自分の身の回りのものを整理し、不要なものを売却、譲渡するなどの処分をしておくと、残された家族のためになります。
残しておきたいものについては、死後どのように扱ってほしいかをエンディングノートに記載し、保管しておくとよいでしょう。
また、身の回りを整理し、片付いた部屋で過ごすことで、気持ちよく日々を過ごすことが期待でき、老後の生活を豊かに送ることができるかもしれません。
5 まとめ
いかがでしたでしょうか。
思いのほか、行っておくべきことがたくさんあり、驚いた方もいるかもしれません。
これだけのことを、老後の自分に出来るのか心配になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「終活」を始めるのに、早すぎる事はありません。
上記は「終活」の中でも一例に過ぎず、会社を経営している場合、不動産を複数持っている場合など、エンディングノートだけでの対応では足りない場合もあります。
「こういう場合はどうしたらいい?」という疑問や「相続人同士が揉めそう」などの心配事がある場合は、ぜひ弊所までご相談ください。
弊所は、大阪はもちろんのこと、大阪以外の都道府県からのご相談にも対応しています。
▽そのほか、相続に関する記事をお読みになりたい方はこちらから。
相続関連コラム
監修者:弁護士 隅田 唯
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参考:終活のやり方を徹底解説! これだけは知っておきたいポイントと具体的な手順