資産管理会社設立のメリット
2023/4/4
こんにちは。
皆さんは、「資産管理会社」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
法的な用語ではありませんが、その名の通り資産を管理するために設立した会社を「資産管理会社」という場合があります。
不動産や株式等の資産が多い場合に利用されることが多いです。
1 設立するメリット
(1)個人の所得税対策
不動産や株式を個人で保有している場合、それによって得られる賃料収入や配当収入は、所得税・住民税・個人事業税等の対象となります。
一方、法人で保有している場合は、賃料収入や配当収入は、法人税・法人住民税・法人事業税等の対象となります。
たとえば、個人の所得税の場合、課税される所得金額が4000万円以上の場合、税率は45%になります。
一方、法人税については、資本金1億円以下の株式会社の場合、年800万円以下の部分の法人税は15%、800万円超の部分の法人税は23.20%となります。
※上記税率(2023.3現在)について、細かい要件による違いについては省略しています。
このように、所得が高くなるほど税負担の差が大きくなり、法人設立のメリットがあるということがわかります。
また、個人では経費にできないものを、法人の場合には経費に計上し得るとか、繰越損失の控除可能期間が法人の方が長いとか、個人で所得区分が異なるものについて損益通算できる等のメリットもあります。
(2)相続税対策
資産管理会社で不動産を保有し、当該会社の株式を個人で保有するという場合、個人が死亡した時には、当該会社の株式が相続の対象となります。
個人が保有する取引相場のない非上場株式を純資産価額方式で評価した際に生じる含み益は、法人税等評価額(37%)を控除して評価できるとされています。
そのため、個人が不動産を相続するよりも、非上場株式を相続する方が、相続税対象財産の評価額を下げることができるということになります。
2 設立に伴うデメリット
(1)費用
法人を設立するためには、設立登記に伴う費用がかかります。
赤字法人であっても、法人住民税の「均等割」は支払わなければなりません。
資産管理会社の会計や法人税の申告を税理士にお願いすれば、税理士報酬もかかります。
また、個人の資産を法人に譲渡等する場合に、税金がかかる場合もあります。
(2)「消費者」として保護されないリスク
個人として法人等と契約をする場合、「消費者」として強い保護が与えられています。
一方、法人や事業として法人等と契約をする場合には、そのような保護の対象となりません。
3 まとめ
以上のデメリットを考慮しても、資産を多く保有する場合には、資産管理会社を設立するメリットがあることも多いです。
弊所では、税理士等の専門家との連携も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
執筆者:弁護士 前川 恵利子
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