【相続放棄】亡くなった親族に借金があった!

2017/8/14

 

「相続放棄」という手続はご存知でしょうか。
人が一人お亡くなりになると、そこからたくさんの行うべき手続きが発生します。
みなさんは、「相続」と聞くと、お金が入る!という印象をお持ちではないでしょうか。
ところが、相続の全てがそうであるとは限りません。
借金や滞納金等、なんらかの債務がある場合があるのです。
また、マイナスの財産はなくとも、被相続人(死亡された方)と不仲であった場合や、兄弟間で遺産分割について揉め事になることが予想できる場合があるかと思います。
そんな時に役に立つのが「相続放棄」という制度です。
相続財産を一部でも処分してしまうと放棄が出来なくなるので、その時が来たら「本当に相続していいのか」を一旦冷静に考えてみることも必要かもしれません。

1 相続放棄とは

まず、相続が生じると、預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金や滞納金などのマイナスの財産も自動的に引き継がれることになります。
借金等の額にもよると思いますが、できればマイナスの財産については、「相続したくない」と思われる方が多いのではないでしょうか。
相続放棄をすると、相続に一切関わる必要がなくなります。
元から相続人でなかったことになり、マイナスの財産についても引き継がずに済むことになります。
他の相続人に「遺産分割は不要である」ことを告げればいいのでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、大きく違うのはその公的な効力です。
相続放棄は裁判官の審判を経て行われる「公的な手続き」です。
一方で、相続人同士だけで話し合うのは「私的な手続き」です。
親族間で話がついていたとしても、債権者に対しては何の効力もなく、相続人として請求がきてしまうこととなります。

2 特徴

(1)特徴1

まず1つ目は、先ほどから述べている通り相続に一切関わらなくて良くなることです。

(2)特徴2

2つ目は、プラスの財産が相続できなくなることです。
後から莫大な財産が発覚しても引き継ぐことはできません。

3 手順

(1)必要書類

まず、以下の書類を収集します。

・被相続人の方の死亡記載のある戸籍

・被相続人の方の死亡時の住民登録地が分かる証明書(住民票除票・附票)

・相続放棄する人の現在戸籍

(2)申述書の作成

次に、相続放棄の申述書を作成します。
申請書は裁判所のHP(https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/index.html)からダウンロードすることができます。

(3)提出先の家庭裁判所を調べる

相続放棄をする際の家庭裁判所は、被相続人が最後に住民登録をしていた住所の管轄家庭裁判所になります。
間違っていると、再度申述書の作成等をしなければならなくなるので、注意する必要があります。

(4)相続放棄の申述書、戸籍等を家庭裁判所に提出する

以下の書類をそろえて、(3)で調べた家庭裁判所に提出します。

・相続放棄申述書

・戸籍、附票等の証明書類

・収入印紙(相続放棄をする際の手数料です。)

・郵券(家庭裁判所によって、納める金額に違いがあります。)

なお、同じ被相続人の相続を複数人で放棄する場合、一緒に申し立てを行うと、添付書類(戸籍等)の重複分が省略できます。

4 期限

相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に申し立てなければなりません。
3か月以内に相続放棄をするか否かの決断ができない場合は、考える期間を延ばすために「放棄の期間の伸長の申立て」の手続が必要です。

5 まとめ

今回は、相続放棄に関して解説しました。
相続放棄をするためには、戸籍を集めたり、家庭裁判所を調べるのに時間と労力がかかります。
また、3か月以内に申し立てなければならないので、スピードも要求されます。
相続放棄をお考えの際は、ぜひ弊所にご相談ください。
なお、期間(死亡から3ヶ月)が過ぎていても、相続放棄が出来る場合もございます。
お気軽にお問合せいただき、事情をお聞かせください。


執筆者:弁護士 森本 禎

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