相続ってなにをすればいい?
2017/8/11
身内の方が亡くなった際は、本当に辛い気持ちになりますね。
しかし、そんな辛い中でも、ご遺族の方は、しなければいけないことがたくさんあります。
今回は、相続でよくある一般的な手続き等について説明させていただきます。
1 具体的な手順
(1)死亡診断書(死亡届や火葬手続きをする際に必要となります。)の取得
お亡くなりになられた病院で、死亡診断書を受け取ります。
(2)葬儀の挙行
葬儀会社と連携しながら進めていかなければなりません。
(3)死亡届の提出
お亡くなりなられた日から、7日以内に、役所に届け出ます(死亡診断書が必要です)。
(4)遺言書の有無の確認、財産調査、相続人調査
⇒(公正証書遺言の有無は、公証人役場に問い合わせをすることで確認します)
A 遺言書がある
自筆証書遺言⇒家庭裁判所に提出し、検認を受けます。
封印のある場合は、裁判所で開封しますので、開封厳禁です。
特に問題がなければ、遺言書記載の通りに、相続財産を相続人に移していきます。
※検認:遺言書の変造や偽造をなくすために、相続人立ち合いのもと、家庭裁判所で、遺言書を開封し、その内容を確認することを言います。
公正証書遺言であれば、検認は不要です。
・遺言執行者の指定がある場合
遺言執行者に連絡し、遺言執行者が、遺言書記載の通りに、手続きをしていきます。
・遺言執行者の指定がない場合
相続人全員が、遺言の内容に沿って、相続手続を行っていきます。
または、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立をすることもできます。
※遺言執行者:遺言書に書かれている内容の実現のために、相続人の代理人として、相続手続きを進めていく人です。
B 遺言書がない
以下の調査を行った上、相続人全員で遺産分割協議書を作成し、相続手続を行います。
なお、このときに、相続放棄(相続人が、被相続人から相続する相続財産を放棄すること)や、限定承認(プラスの財産が多ければ、相続人全員で、それを相続するという留保を付けてする相続の承認)をする場合もあります。
財産調査⇒Dを参照
相続人調査⇒Eを参照
遺産分割協議書の作成⇒相続人全員で、作成します。
相続手続⇒(5)へ
C 相続放棄
法定相続人が、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。
相続放棄を行った場合、その方は、相続人ではなくなるので、これ以降の手続きは不要です。
なお、第1順位の法定相続人が、相続放棄を行った場合、第2順位の法定相続人が相続をすることになるので、その方々も相続放棄をするか否かを判断しなければなりません。
D 財産調査(財産目録の作成)
・現金⇒金庫やタンスに現金がないかを確認します。
・預金・証券、生命保険⇒各金融機関に問い合わせし、預金残高等を開示してもらいます。
・不動産⇒不動産登記簿、固定資産評価証明書、名寄せ等を行い、不動産の所有や抵当権の有無等を調査しなければなりません。
・骨董品・自動車・アクセサリー⇒各買取業者に査定をしてもらい、評価額を算出します。
・負債の調査⇒借入に関する書類や、信用情報機関の履歴を元に、負債の調査を行います。
E 相続人調査
被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し、法定相続人を調査します。
この調査を行うのは、相続人らが把握できていない被相続人の子供がいないか等をきっちりと把握するためです。
(5)相続手続
各相続財産の種類に応じて手続きを行っていき、相続財産を分割していきます。
・預金⇒名義の変更・解約
・不動産⇒名義の変更・売却
・証券口座⇒名義変更・解約
・生命保険⇒請求(受取人が被相続人の場合)
・骨董品等⇒売却
・自動車等⇒売却・名義変更
(6)相続税の申告、納付
被相続人の死亡後10か月以内に税務署に申告します。
詳しい手続きは、税理士の先生にご相談ください。
もしお知り合いの税理士がいらっしゃらない場合、弊所では、ニーズに応じて、適切と思われる税理士の先生をご紹介させていただきます。
(7)行政手続き(年金・介護保険資格の停止、遺族年金申請、婚姻関係)
・年金・介護保険資格の停止⇒役所の各窓口に申請をします。
・婚姻関係⇒夫婦の一方の死亡により、婚姻関係は終了します。
夫が死亡した場合、復氏を希望される場合には、復氏届を役所に届け出することで、夫の戸籍から抜け復氏することになります。
なお、夫婦の一方が死亡した場合には、姻族関係終了届を役所に届け出することで、姻族関係を終了させることができます。
(8)その他(光熱水道費・携帯電話の利用停止、生命保険金の請求)
・光熱水道費・携帯電話⇒各社の窓口に連絡の上、利用停止を問い合わせます。
・生命保険金の請求⇒受取人となっている方は、保険証券を確認の上、保険会社に保険金を請求します。
(9)遺言書の無効を主張する
被相続人の方が作成された遺言書が、その作成過程に疑義がある場合(ex、遺言書作成時に認知症であった、脅迫されて遺言書を作成したなど)、遺言書の無効を主張できる可能性があります。
なお、この場合、遺言書が無効の前提での話し合いや調停をしていく必要があるので、難易度が高くなります。
2 まとめ
以上のように、相続では、かなり多くの手続きが必要となります。
特に、財産調査などは、各金融機関に問い合わせをするために、かなりの時間を要します。
しかし、平成29年5月29日から、法定相続情報証明制度が始まりました。
これにより、今まで時間がかかっていた金融機関への手続きの時間を縮小することができると思います。
弊所では、遺産整理業務を行っております。
相続人調査、相続関係説明図、遺産分割協議書作成、保険金請求、税理士等との連携まで、相続に必要な手続きを全てパッケージで行っております。
「身内が亡くなったが、何から始めていいか分からない!」
「仕事が忙しくて、こんなにもたくさんの手続きができない!」
「どんな書類が必要なのか、誰が相続人になるのかわからない!」
などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:弁護士 森本 禎
▽そのほか、相続に関する記事をお読みになりたい方はこちらから。
相続関連コラム