交通事故における車両付属品について
2020/1/31
こんにちは。
今回は、交通事故における車両付属品についてのお話です。
最近では、自動車にドライブレコーダーやカーナビを取り付けている方も多いと思います。
交通事故でこれらの車両付属品が損傷を受けた場合、損害を賠償してもらえるのでしょうか。
1 車両付属品
(1)車両付属品の損害について
自動車の車両付属品としては、たとえば、オーディオ機器、ETC車載器、カーナビゲーションシステム、ドライブレコーダー等(メーカーオプション含む。)が考えられます。
このような付属品が取り付けられている車両が交通事故により損傷した場合には、車両価格の算定の際に、付属品の存在をどのように評価するか、などの問題が発生することがあります。
このような場合、車両本体価格に付属品の価格が評価されていないときには、このような付属品の価格が、車両本体価格に加算されると考えられています。
ただし、加算される付属品の価格については、購入時から事故発生時までの経過期間等を考慮し、減額される可能性があります。
そして、「標準装備であれば当該車種の価格に組み込まれるが、標準装備でない場合には付属品についての購入価格の賠償を原則としつつ損益相殺に準じて減額を考える」(藤村和夫ほか編『実務 交通事故訴訟体系(3)損害と保険』571頁(ぎょうせい、2017))という方法が提案されています。
この場合、どの範囲が「標準装備」に含まれるのか、という点も問題となると考えます。
(2)裁判例
車両付属品の損害について問題となった裁判例には、下記のようなものがあります。
①車両付属品の損害を認めたもの
車両購入時から約1年経過時に発生した交通事故により、車両が全損となったという事案において、裁判所は、車両価格算定時に、被害車両購入時に取り付けられたメーカーオプション(タイヤ、セーフティシステム、クリアランスソナー、ムーンルーフ)について、いずれも車両の価値向上に資するオプションで、かつ、容易に他の車両に転用が効くものではないことを理由に、その価格については車両時価額に加算して計算すべきとしました。
そして、結果として、車両本体価格が事故発生時に新品の8割程度の価格になっていたことから、オプション新品価格の8割を車両価格に加算しました。
②車両付属品の損害が認められなかったもの
特別な車内装備としてカーナビ、運転席及び助手席のシートがあり、車外装備としてアルミホイールタイヤ、LEDバルブ等が搭載されていた車両が経済的全損となったという交通事故について、原告は、カーナビの移設費用や、シート張替費用等を請求しました。
これに対し、裁判所は、車両価格について車内・車外装備を含めて125万円と算定した上で、カーナビ及びシートは、車両損害の算定に当たりその価値を含めて評価されており、被害者は、車両損害分の賠償がなされることによって、カーナビ及びシートが搭載されていた被害車両と同価値の車両を入手することが可能になり、その結果、事故による被害を受ける前の経済状態が回復されることになる、と判断しました。
その上で、車両損害の他に、カーナビ移設費用やシート張替等の費用を損害として認めた場合、被害者が二重に利得する結果となることを理由に、カーナビ移設費用やシート張替等の費用を損害と認めませんでした。
なお、カーナビを後から設置したような場合であっても、事故時に車に付属していたものは車両損害として評価されます。取付工賃が損害の一部を構成し、減価償却後の価値が損害になると考えられているようです。
2 おわりに
いかがでしょうか。
車両付属品の損害については、そもそも認められるのかどうか、認められるとしてどの範囲か、など様々な点で法的に問題となります。
この点に限らず、交通事故に遭った際の損害賠償請求についてお悩みの際は、是非一度、弊所にご相談ください。
なお、交通事故被害者の方の場合、初回のご相談は無料となっております。
執筆者:弁護士 森本 禎
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