交通事故をした際に代車料(レンタカー代等)を請求できるか。

2019/12/26

 

こんにちは。
今回は、交通事故における代車料(レンタカー代)についてのお話です。
「代車料(代車使用料)」とは、車両が損傷して、その修理や買い替えのために車両を使用できなかった場合に、レンタカーなど、有償で他の車両を貸借するために要した費用のことをいうものとされています。
交通事故により代車料を支出した場合、交通事故の相手方に賠償してもらうことはできるのでしょうか。

1 代車料が認められるための要件

代車料についての損害賠償請求が認められるためには、代車料が事故と相当因果関係のある損害と認められる必要があります。そして、そのためには、

①代車を使用したこと

②代車料を支出したこと

③当該代車を使用する必要性があったこと

の3つの要件が必要とされています。

①と②については、代車料の領収書が証拠書類として提出されれば、基本的に代車使用の事実が認められるものとされています。
③の代車の必要性という要件については、被害車両が営業用車両の場合には、原則としてその存在が認められるものとされています。

これに対し、被害車両が自家用車の場合には、たとえば、被害車両の使用目的・状況から日常生活に不可欠といえるのか否か、代替交通機関を使用することの可能性・相当性等の事情から総合的に判断されることになります。
具体的には、通勤や通学に利用されている場合や、病人・要介護者の送迎や買い物等の日常生活利用の場合には、代車の必要性が認められる場合があります。
なお、代替交通機関があることにより代車の必要性が否定される場合には、公共交通機関の利用料金相当額が損害となる可能性があるとの意見もあります。
そして、代車料の賠償を訴訟で請求する場合には、上記の3つの要件の他に、使用した代車の車種、使用した代車が相応なものであったこと、代車を使用した期間、代車使用期間が修理・買替え等に要する相当な期間であったことの主張・立証が必要となります。

2 代車料の範囲

代車料の賠償が認められるとした場合、その範囲はどうなるのでしょうか。
この点、損害賠償の対象となる代車料の基準額、使用期間は、現実に使用した代車の基準額、使用期間と必ずしも一致しないため、判決等で認められる賠償額が、現実支出額を下回る可能性があります。
代車の相当性という観点からは、損害賠償の対象となる代車料の基準額については、代車が短期間の代替手段であるということから、被害車両と相応の車両についての代車料で足りるものとされています。
たとえば、被害車両が高級外国車であった場合に、裁判例では、国産高級車の限度でしか損害と認めないものも相当数あります。
具体的には、メルセデスベンツやジャガーのような高級外国車を代車とする必要性までは認められず、国産高級車の限度で、1日当たり1万5000円や2万円を相当としたものもあります。
また、代車の使用期間についても、現実に修理・買替えをするために要した期間全てが賠償の対象として認められるわけではなく、そのうちの修理・買替えに要する相当な期間に限られるとされています。
もっとも、外車が損傷し、その修理部品を外国から取り寄せる必要があったことから修理期間が長期化したような場合には、比較的長期間の代車料が損害賠償の対象として認められているようです。

3 おわりに

いかがでしょうか。
代車料については、そもそも認められるかどうか、認められるとしてその金額はどうなるのかなど、様々な点で法的に問題となります。
代車料に限らず、交通事故に遭った際の損害賠償請求についてお悩みの際は、是非一度、弊所にご相談ください。
なお、交通事故被害者の方の場合、初回のご相談は無料となっております。


執筆者:弁護士 森本 禎

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