トラック等事業用車両の交通事故、減少した営業収入は請求できる?

2019/10/23

 

こんにちは。
事業用自動車(業務用の自動車)が交通事故に遭い、損傷を受けて修理を要することとなれば、その期間、事故車両を事業に使用できず、そのために営業収入が減少することがあります。
このような場合、減少した営業収入を、相手に請求することができるのでしょうか。

1 休車損害

交通事故により営業用車両(トラック等の緑ナンバー等)が損傷を受けて修理や買替えを要することになった場合、車の修理や買替えに必要な期間は事故車両を事業の用に供することができません。
そのことにより、稼働していれば得られたであろう営業利益を喪失することがあります。
これを休車損害といいます。
なお、最高裁昭和33年7月17日判決では、「自動車が右衝突により損傷を蒙ったため、これを休車としたことによる得べかりし利益の喪失」としています。
このような損害についても賠償が認められますが、休車損害は車両を使用することができなかったことによる損害ですから、代車料が認められる場合には、休車損害は認められないことになります。

2 遊休車について

被害者にも、信義則(相互に信頼を裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという原則)上、被害の拡大を防止すべき義務があると考えられます。
そうだとすると、被害者が事故車以外に活用できる車両(遊休車)を保有している場合には、被害者は、遊休車を活用することによって、事故車を運行していれば得られるであろう利益を確保すべきということになります。
そこで、休車損害が認められるためには、休車期間中、遊休車が存在しなかったことを必要とすべきと考えられています。

3 休車損害の算定

では、休車損害はどのように算定されるのでしょうか。
事故車両を事業に用いることができないため、営業利益が減少した場合、同時に、営業収入獲得のための経費も減少しているはずです。
そのため、休車損害の算定においては、損益相殺の観点から、営業収入から経費を控除する必要があります。
なお、控除できる経費は燃料費や有料道路通行料等の、車両の実働率に応じて発生額が比例的に増減する変動経費に限られます。
固定経費は休車期間中も支出を免れないもののため、控除することはできません。
結果として、休車損害の金額は、1日当たりの営業収入から変動経費を控除し、これに休車日数を乗じる計算式で算定されることとなります。

    休車損害=(1日当たりの営業収入-変動経費)×休車日数

4 おわりに

いかがでしょうか。
このように、日々の業務に使用している営業用車両が交通事故に遭った場合、休車損害が請求できる場合があるのです。
交通事故に遭った際の損害賠償請求についてお悩みの際は、是非一度、弊所にご相談ください。
なお、交通事故被害者の方の場合、初回のご相談は無料となっております。


執筆者:弁護士 森本 禎

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