自筆証書遺言について~その2「平成31年1月13日からの新ルール」~
2019/2/4
こんにちは。
今回は、自筆証書遺言における、平成31年1月13日からの新ルールについて簡単に説明します。
1 財産目録についてはパソコンでの作成が可能となりました
自筆証書遺言とは、遺言する人が、自ら手書きするタイプの遺言で、法律上、①全文、②日付、③氏名を手書きする必要があることは、もうご存知ですよね(前回の記事参照 )。
今まではこのルールのために、地番や家屋番号、預金口座の番号などまで、正しく手書きしなければならないことを負担に感じる方も少なくありませんでした。
しかし、 平成30年の法改正で、平成31年1月13日からは、①全文を「本文」と「財産目録」とに分け、「財産目録」については、パソコン等で作成することが可能になりました*。
*必ずパソコン等で作成しなければならないわけではなく、今までどおりの作成方法も認められています。
具体例を見て比較してみましょう。
例えば、甲野太郎さんが、
⑴奥様の花子さんに大阪にある土地と建物を、
⑵娘の良子さんに京都にある土地、すべての預金、現金及びそのほかの財産を、相続させる場合を考えてみましょう。
今までのルールと変更後のルールとで、どのような違いが出るでしょうか。
2 今までのルールによる場合
記事のスペースの関係で一部省略しましたが、それでも長いという印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。。
これをすべて手書きするのは一苦労かもしれません。
3 変更後のルール(新ルール)による場合
いかがでしょうか。
法律上、財産目録のすべてのページに署名と押印をする必要がありますが、それでも手書きしなければならない部分がかなり減りました。
これなら、だいぶ楽に自筆証書遺言をすることができそうです。
4 さいごに
もっとも、新ルールの運用は始まったばかりです。
①手書き部分をどう書いたらよいか
②財産目録をどう作成すればよいか
などは、新ルールの下でも皆さんの悩みのタネとなることでしょう。
また、今までのルールと同じく、製本することや契印することまでは法律上求められてはいませんので、これまでよりも差し替えのリスクが高まる可能性も考えられます。
どのようにしてリスクを回避すべきか、専門家の判断が必要になるかもしれません。
そのような場合はお気軽に弊所にご相談ください。
相続事件の経験豊富な弁護士が、相続に精通した税理士やファイナンシャルプランナー等とも連携し、相談者様のご希望に沿った遺言の方式選択、内容面・形式面等のアドバイスから、節税・相続税対策も含めた総合支援をさせていただきます。
執筆者:弁護士 森本 禎
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