自筆証書遺言について~その1「一般的な書き方・訂正方法」~

2019/1/23

 

みなさん、こんにちは。
前回の記事(遺言書作成のすゝめ ~よりよい終活のために~)に引き続き、遺言書についてお話したいと思います。
今回は、遺言書の中でも、最も簡単で費用がかからないとされる「自筆証書遺言」(じひつしょうしょゆいごん)を簡単に説明します。

1 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言をする人が、自ら手書きするタイプの遺言です。
法律上、①全文、②日付、③氏名を手書きしなければ遺言書として認められません。
 いくつか具体例を見ていきましょう。

2 甲野太郎さんが奥様の花子さんに全財産を相続させる場合(簡易版)

 

 

全財産を相続人の1人にだけ相続させる場合は、上のように書くだけで、法律上有効な遺言書として扱われます。
遺言書なんて難しそう・・・と思っていた方も、これなら書ける!と思ったかもしれません。
もっとも、相続手続の際に、相続人が実際どんな財産があるのかを把握することが難しい場合もよくあります。
有効な遺言書があるのに、どのような相続財産があるのか分からず、相続手続がスムーズにいかないといった事態が起きるかもしれません。
ですから、次の例のように、可能な限り遺言書の中で特定してあげたほうが良いでしょう。

3 甲野太郎さんが奥様の花子さんに全財産を相続させる場合(通常版)

いかがでしょうか。
何だか少し難しい書面になってきた感じがしますよね。
地番や家屋番号、預金口座の番号など、正しく手書きしなければならないのを負担に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

4 書き間違いを訂正する場合

 書き間違いがあった場合は、上の例のように、訂正箇所を二重線などで抹消して訂正したうえで、
①遺言者が、
②訂正した場所を指示し、訂正した旨を空いたスペースに書いて(「付記」といいます。)、
③付記部分に署名をして、④訂正箇所に印を押さなければなりません。
ルールに従わない場合は、有効な訂正として扱われませんので気をつけましょう。

5 まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、自筆証書遺言について、例を挙げながら、その概要を説明しました。
皆さんならどのような遺言書を作成しますか。
今回の説明をもとに、一度ご自身の遺言書のイメージしてみてください。
ご自身の遺言書を具体的にイメージする中で、「こういう場合はどう書けばいいのかな?」といった疑問や不安が出てくるかもしれません。
そのような場合はお気軽に弊所にご相談ください。
相続事件の経験豊富な弁護士が、相続に精通した税理士やファイナンシャルプランナー等とも連携し、相談者様のご希望に沿った遺言の方式選択、内容面・形式面等のアドバイスから、節税・相続税対策も含めた総合支援をさせていただきます。


執筆者:弁護士 森本 禎

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