パワハラ問題について
2018/10/29
こんにちは。
今年も残すところあと2か月ほどとなりました。
少し前ですが、スポーツ界隈でのパワハラ問題が露見していましたね。
みなさん職場で、「これってパワハラ?」と思うタイミングがある方はいらっしゃいませんか?
今回は、パワハラの定義と種類、証拠の集め方をご紹介しようと思います。
1 パワハラの定義
まず、厚生労働省では
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
をパワーハラスメントの定義としています。
上司から部下へのパワハラを想像される方が多いのですが、この職場内の優位性とは上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為を指しています。
部下から上司、同僚から同僚、後輩から先輩でも、その関係性によって、如何なる場合でもパワハラが起こり得るということです。
2 パワハラの種類
(1)身体的な攻撃
暴行・傷害
(2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
(3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
(4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
(5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
3 証拠の集め方
「あの時のこれ、該当するんじゃないかな?」と思うことがあった方は、被害の程度が低くとも、改善の余地があったとしても、何かあった際のために証拠を残しておくことをおすすめします。
反撃したい時に、証言だけでは周りが信じてくれなかったり、労基署が分かってくれなかったりします。
また、弁護士に依頼したい場合でも、証拠がないと動けません。
相手を攻める武器は、あればあるほどいいのです。
(1)いつどこで、どんな状況で何があったかを書き留めておくこと
日記を付けている方であれば、そこに詳しく書き込むのもとてもいい証拠になります。
気になることは何でも、残しておくのがよいでしょう。
(2)(可能であれば)録音しておくこと
録音は前後の流れも大変重要なので、撮ろうと思う場合は会話の前から録音スタートをおすすめします。
会話には流れがあるので、売り言葉に買い言葉になることもあります。
録音が短すぎると、暴言部分だけ抜き出したと反論される可能性があり、証拠として弱い、と評価されることもあり得ます。
(3)(可能であれば)写真・動画を撮影すること
危害を加えられたり(殴る蹴る等)、ゴミ箱を蹴飛ばす、壁を殴る等物に対して攻撃することで圧をかけてくるような場合は、その様子を録画することをおすすめします。
もしその場で撮影が出来なくとも、怪我をした場合は受傷箇所、物を攻撃した場合は散らかった様子や、壁の写真を後から保存しておくとよいでしょう。
4 まとめ
自分の信念があるのは良いことですが、それは他人を傷付けたり、侮辱したりしていい理由にはなりません。
「あれ?」と思ったら証拠を残しましょう。
「やめてください」と伝えましょう。
改善されるように同僚・上司に相談しましょう。
労基署にも相談しましょう。
なんの改善も見られず、どうにもできない、納得できないと感じたら、すぐに弊所に相談してください。
パワハラで心を病んだり、自殺等を考えてしまう前に、出来る事はいくらでもあります。
いつでもご相談ください。
執筆者:弁護士 森本 禎
▽そのほか、労務に関する記事をお読みになりたい方はこちらから。
労務関連コラム