住宅ローンの支払いが厳しい…破産を検討すべきタイミングとその影響とは?

2025/3/17

昨今、住宅ローン金利の上昇が続いており、毎月の返済額が増えてしまうという声を耳にします。特に、変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、金利の上昇により月々の返済額が上がる可能性があります。

さらに、物価高や生活費の上昇により、家計の負担は増す一方です。住宅ローンの返済が困難になり、「もう支払いができないかもしれない…」と不安を抱える方も少なくありません。もし、住宅ローンの支払いが難しくなった場合、どのような選択肢があるのでしょうか?本記事では、「破産」という手続きを検討すべきタイミングやその影響について、分かりやすく解説します。

目次

 

1 住宅ローンが払えない場合の選択肢

住宅ローンの支払いが厳しくなった場合、以下のような選択肢を考えることができます。

(1)金融機関に返済条件の変更(リスケ)を相談する

住宅ローンを借りている銀行や金融機関に相談し、返済期間を延ばす・一時的に元金の返済を猶予してもらうなど、いわゆるリスケの交渉が可能な場合があります。

もっとも、リスケはいかなる場合でもできるものではなく、安定した収入がある、一時的な資金不足に過ぎないものであること、返済の遅延がないことなど、金融機関による条件があります。

(2)任意売却を検討する

住宅を売却するとローンを完済できる場合、または、ローン残高を大幅に減らせる場合は、任意売却をすることも考えられます。任意売却は、競売よりも有利な条件で売却できる可能性があります。自宅の資産価値が高い場合は、売却によって住宅ローンのみならず、他の借金も返済できるケースもあるので、検討しましょう。

(3)個人再生を検討する

個人再生とは、債務の支払が困難な場合に、条件さえ調うなら、債務の総額を5分の1から10分の1程度に圧縮し、残額を3年から5年かけて分割払いをする債務整理の手続です。住宅ローンに関する特則を利用することで、住宅を手元に残しつつ、債務整理を行うことができます。ただし、住宅ローンは全額返済していくことが条件となります。

(4)自己破産を検討する

住宅ローンのリスケや住宅の任意売却をしても債務の返済が困難な場合は、自己破産を選択することも考えられます。

自己破産は、債務の支払ができない場合に、債務者が裁判所に破産を申立て、財産を債権者に分配して債務を整理する手続です。

自己破産をすると、裁判所の許可が得られれば債務の支払は免除されますが、後述のように、住宅は強制的に売却となり、住宅を失うことになります。

 

2 住宅ローンがある状態で破産するとどうなる?

では、自己破産を選択した場合、債務者の財産にどのような影響があるのでしょうか?

(1)住宅はどうなるのか?

住宅ローンを組んでいる場合、自己破産をすると自宅を手放すことになります。

住宅ローンは、大半は住宅に抵当権がついています。そのため、破産手続きを開始すると、債権者(銀行など)が抵当権に基づいて住宅を差し押さえ、競売にかけ、債務の支払に充てられることになります。

(2)自己破産すると他の財産はどうなる?

自己破産をすると、住宅以外の財産についても、生活に最低限必要な財産を除き、処分され、債権者への配当に回されることになります。ただし、次のようなものは例外として手元に残すことができます。

①99万円以下の現預金

②生活に必要な家財道具

③給与や退職金の一部

(3)クレジットカードやローンの利用は?

自己破産をして、裁判所の許可が得られれば債務の支払は免除されますが、自己破産をしたことは、信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載ることになります。ブラックリストに載ると、約5~10年間はクレジットカードやローンの審査に通りにくくなり、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組むことが困難になります。

 

3 破産手続きの流れ

自己破産の手続きは、一般的に以下の流れで進みます。

(1)弁護士に相談する

ローンの返済に困ったら、まずは弁護士に相談してください。ローンをどのように返済していくべきか、返済できない場合はどのような債務整理の方法で進めていくのかなどについてアドバイスを受けられます。特に、自己破産をする場合は、裁判所に多数の資料を提出する必要があったり、債務の免責が認められない可能性がある場合などはご自身で手続きを進めるのは困難です。そのため、なるべく早く専門家である弁護士に相談した方が良いでしょう。

(2)裁判所に自己破産を申し立てる

自己破産を裁判所に申し立てるにあたっては、債務者の収入、財産状況、負債の内容、破産に至った経緯などに関する資料の提出や書面による説明をしなければなりません。資料や書類が揃えば裁判所に自己破産の申立を行います。

(3)破産手続きの開始決定

裁判所において、破産者が破産すべきかを審査し、相当であると認められると破産手続きの開始が決定されます。破産手続開始決定時に、債権者に配当すべき財産がある場合や、破産に至る経緯に問題がある場合などは、破産管財人が就任し、破産者の財産状況や破産に至る経緯などの調査が行われます。この際、破産者は破産管財人の調査に協力する義務があり、財産を隠したり、うその説明をすることは許されません。

(4)財産の換価、債権者への配当

破産管財人の調査の結果、債権者に配当できる破産者の財産が見つかった場合は、財産をお金に換価し、債権者に配当します。

(5)免責許可の決定

破産手続き終了時に、破産者に債務の免除を認めても良い場合は、裁判所が免責の許可を決定します。免責が認められると、住宅ローンを含む借金の支払い義務がなくなります。

破産に至る経緯において、多額の浪費やギャンブルがあったり、破産手続に協力しないなどの事情がある場合は、免責許可がなされない可能性があります。

 

4 弁護士に相談・依頼するメリット

自己破産を検討する際、弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットがあります。

(1)債務整理の最適な方法を提案してもらえる

自己破産だけでなく、「個人再生」や「任意整理」など、状況に応じた選択肢を提案できます。特に、住宅を所有している場合は、状況に応じて様々な選択肢があるので、進め方について弁護士に相談した方が良いでしょう。

(2)手続きをスムーズに進められる

裁判所への申立てや必要書類の準備など、複雑で専門的な手続きを任せることができ、スムーズに進めることができます。

(3)債権者との交渉を任せられる

弁護士に依頼をすると、弁護士から債権者に受任通知を送付します受任通知を送付すると、取り立てや督促をストップさせることができます。

 

まとめ:住宅ローンの返済が厳しいと感じたら早めに相談を

住宅ローンの返済が厳しくなり、「もう支払えないかも…」と感じたら、まずは専門家である弁護士に相談することが重要です。自己破産だけでなく、任意整理や個人再生、任意売却など、それぞれの事情に応じた様々な選択肢を検討できます。

当事務所では、住宅ローンの支払いやその他借金にお困りの方に向けた初回無料相談を実施しています。まずはお気軽にご相談ください。あなたにとって最適な解決策を一緒に考えます。


執筆者:弁護士 森本 禎

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