令和6年度改正景品表示法の施行について
2024/6/20
令和6年10月1日から、改正景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律・令和5年法律第29号)が施行されます。
景品表示法は、商品・サービスを提供者する事業者を規制する法律ですが、一般消費者である私たちにとっても、その内容が非常に身近なものでもあります。
1 景品表示法とは
景品表示法とは、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする法律です(景品表示法第1条)。
景品表示法の2大柱は『不当表示の禁止』と『景品類の制限及び禁止』です。そのうち不当表示にあたるものとして、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」が定められています。
2 優良誤認表示
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示であり、
1.内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
例)カシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示した場合
2.内容について、事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
例)「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際は競争業者も同じ技術を用いた商品を販売していた
を指します。
3 有利誤認表示
有利誤認表示とは、商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示であり、
1.取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
例)当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合
2.取引条件について、競争業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
例)「他社商品の2倍の内容量です」と表示していたが、実際には、他社と同程度の内容量にすぎなかった
を指します。
4 改正点
(1)【改正点1】事業者の自主的な取組の促進
優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が、是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けたときは、当該行為について措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けない、とされました。併せて、事業者による、優良または有利誤認表示により商品・サービスを購入した消費者への返金方法として、金銭によるもののほか、第三者型前払手段(いわゆる電子マネー等)によることが認められました。
(2)【改正点2】違反行為に対する抑止力の強化
罰則規定が拡充され、優良誤認表示・有利誤認表示に対し、100万円以下の罰金を課す規定が新設されました。
また課徴金制度の見直しとして、徴金の額の算出が困難である場合に、その算出の基礎となる期間の売上額を推計する規定が新たに定められ、違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を加算する規定が新設されました。
(3)【改正点3】円滑な法執行の実現に向けた規定の整備
適格消費者団体が、一定の場合に、事業者に対し、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるとともに、事業者は当該要請に応ずる努力義務を負う旨の規定が新設されました。
5 さいごに
この度の景品表示法の改正は、事業者による自主的な取組みを促進する一方で、違反行為に対する抑止力を強化し、一般消費者の利益の一層の保護を図ったものと言えます。
何気ない日常生活の中にも確かに息づく景品表示法、事業者のみならず私たち一消費者が賢くあるためにも、今後もその存在感を増していってくれることを願います。
監修者:弁護士 稲生 貴子
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