電動キックボードに関する法改正について

2024/4/18

 

近年、都市部を中心として、電動キックボードのシェアリングサービスが発達してきており、電動キックボードを目にする機会が増えてきました。
そんな中、令和5年7月に施行された電動キックボードに関する道路交通法改正により、電動キックボードに関するルールが変わり、より利用しやすくなりました。
今回は、電動キックボードに関する法改正について解説します。

1 特定小型原動機付自転車および特例特定小型原動機付自転車の新設

改正前は道路交通法において、電動キックボードは、原動機付自転車(原付)と同じ分類(シェアリングサービスをはじめとした新事業特例制度に認定されている電動キックボードの場合は小型特殊自動車)でした。
令和5年7月に施行された道路交通法改正により、次の条件を満たす電動キックボードについては、「特定小型原動機付自転車」に分類され、原付よりも緩やかな規制を受けることになります。

(「特定小型原動機付自転車」に分類される条件(主要なもの))

・車体は、長さ190cm以下、幅60cm以下であること
・20km/hを超える速度を出すことができないこと
・最高速度表示灯(走行中であることを示す緑色のランプ)を点灯させること

また、特定小型原動機付自転車のうち、次の条件を満たす電動キックボードについては、「特例特定小型原動機付自転車」に分類され、一部歩道走行も可能になります。

(「特例特定小型原動機付自転車」に分類される条件(主要なもの))

・最高速度表示灯を点滅させること
・6km/hを超える速度を出すことができないこと

2 運転免許が不要に

電動キックボードを運転するには、改正前は運転免許が必要でしたが、改正により不要になりました。
ただし、16歳未満の者は電動キックボードを運転することはできません。16歳未満の者が電動キックボードを運転した場合は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されるので注意が必要です。

3 ヘルメットの着用が努力義務に

改正前は、ヘルメットの着用は任意とされていましたが、改正後は努力義務となりました。努力義務なので、ヘルメットを着用しなかったとしても運転者に罰則はありません。
罰則が無いとしても、事故の防止や事故が発生した場合の負傷を軽減するためにも、ヘルメットを着用することが望ましいでしょう。

4 制限速度

改正前の制限速度は、小型特殊自動車の規制と同じく時速15kmでしたが、改正後は時速20kmに緩和されました。

5 走行可能な場所が増える

改正前は、電動キックボードが走行可能な場所は車道のみでしたが、改正後は、車道に加え、自転車専用通行帯も通行可能になりました。
また、改正前は、一方通行の道路を逆走することは禁止されていましたが、改正後は、一方通行の道路でも、「自転車を除く」と「軽車両を除く」という標識がある道路については逆走が可能になりました。
さらに、特例特定小型原動機付自転車の基準を満たす場合は、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている歩道や、道路の左側に設けられた路側帯(歩行者用路側帯を除く)を通行することができるようになりました。

6 右折方法の変更

電動キックボードの右折方法について、改正前は、小回り右折(自動車と同じように直接交差点に進入して右折する方法)が認められていましたが、改正後は、二段階右折(車道の左側に沿って交差点を直進し、その後右折する方法)をすることに変更になりました。

7 おわりに

今回は、令和5年7月に施行された電動キックボードに関する道路交通法改正について解説しました。
今回の改正により、電動キックボードは従来より利用しやすいものとなりましたが、電動キックボード特有の新たなルールが新設されているため、乗車する際は事前にルールを確認するようにしましょう。

電動キックボード運転時の違反行為については、こちらの記事で詳しく解説しています。
合わせてお読みください。→電動キックボード運転時の違反行為


執筆者:弁護士 森本 禎

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