交通事故での死者数はどれくらい?事故に遭わないために気を付けること
2023/9/22
交通事故は年々減少傾向にありますが、残念ながら依然交通事故で亡くなられている方も存在します。
今回は、死亡事故の死者数はどのくらいか、死亡事故を避けるためにどのような点に気をつければよいかなどについて解説します。
1 2022年の交通事故死者数は2610人!
2022年に発生した交通事故の件数は30万839件にのぼり、負傷者数は35万6601人、死者数は2610人に上ります。
死者数は、統計上6年連続で最少を更新したものの、依然多数の方が交通事故により命を落としています。
(1)1日あたり7.2人が死亡している
この死者数は、1日あたりに換算すると平均7.2人が死亡していることになります。
(2)都道府県別では大阪府の死者数が最多
都道府県別でみると、大阪府が全国最多の141人が亡くなっており、次いで愛知県の137人、東京都の132人と続きます。
また、65歳以上の高齢者の死者数は1417人と、過半数の割合を占めています。
(3)事故が起こりやすいのは黄昏時(17時台、18時台、19時台)
交通事故が起こりやすい時間帯は、17時台から19時台までの間の、いわゆる黄昏時といわれる時間帯です。
この時間帯は、徐々に暗くなり、視界が悪くなることで、自動車や自転車や歩行者の発見が遅れたり、速度や距離感がつかみにくくなるため、交通事故が起こりやすくなります。
(4)起こりやすい事故は「自動車対歩行者」、そのほとんどが「横断中」に発生
死亡事故は、自動車対歩行者の類型で多く発生しています。
特に、黄昏時の時間帯での死者数においては、半数近くが自動車対歩行者の類型で発生しています。
また、死亡事故の約9割は、歩行者が道路を横断しているときに発生しています。
2 【歩行者】夕暮れ時の交通事故対策
以上のように、事故が起こりやすい時間は、17時台から19時台で、歩行者の横断中に自動車との間で発生しているということになります。
そうすると、歩行者としては以下のような点に注意して、事故が発生しないように注意する必要があります。
(1)歩行者の交通ルールの順守
歩行者にも交通ルールがあるので、交通ルールに従って歩くことで、事故の可能性を減らすことに繋がります。
また、交通事故の被害に遭った場合に、歩行者が交通ルールを守っていないことを理由として過失相殺されてしまうことがあるので注意が必要です。
歩行者横断禁止の標識により、横断が禁止されている場所は横断してはいけません。
また、歩道がある場所は歩道を通行し、歩道がない道路でも右側を通行しなければなりません。
その他にも、信号を守る、飛び出しをしない、といったことや、以下の点にも注意が必要です。
(2)横断歩道を横断する
横断歩道がある道路では、横断歩道を歩行しなければなりません。
(3)道路を斜めに横断しない
道路を斜めに横断することも、横断距離が長くなり、危険なため禁止されています(スクランブル交差点など、斜め横断が認められている場所を除きます。)。
(4)進行中、停車中の車の直前、直後を横断しない
進行中、停車中の車の直前、直後を横断することも、車からの見通しが悪くなるため危険です。
(5)明るい色の服装で出かける
夕暮れ時は、車からの見通しが悪くなるので、ドライバーから見やすくするために、明るい服装にするようにしましょう。
(6)反射材用品・ライトを活用
また、光を反射する反射材を手首や足首に身につけたり、衣類や靴などに取り付けたり、歩行時にライトを使うことも、ドライバーに歩行者が見えやすくなるため効果的です。
3 【ドライバー】夕暮れ時の交通事故対策
ドライバーの立場としては以下のような点に注意して、事故が発生しないように注意する必要があります
(1)横断歩道に関する交通ルールの遵守
ドライバーは、横断歩道を横断しようとしている歩行者がいる場合は、歩行者を優先しなければなりません。
ドライバーは、横断歩道を横断している歩行者がいるときは、歩行者の安全を図るため、横断歩道の手前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにしましょう。
(2)ライト(前照灯)は早めに点灯
夕暮れ時は、視界が悪く、歩行者に気付きにくく、歩行者からも車に気付きにくくなります。
そこで、ライトは暗くなる前に早めに点灯させ、視界を確保するとともに、車の存在を歩行者に知らせるようにしましょう。
(3)昼間より速度を抑える
ライトをつけていても、夕暮れ時は、昼間に比べると視界が悪くなります。
そのため、昼間よりも速度を押さえて走行しましょう。
(4)ダイヤマークに注意する
道路上にダイヤマークが描かれているのを見たことがあると思います。
これは、前方に横断歩道または自転車横断帯があるという意味の標識です。
したがって、このマークを見かけたら、歩行者が横断するかもしれないということを予測し、特に注意して走行するようにしましょう。
(5)ハイビームを上手に使う
ハイビームは、車のライトを上向きにすることをいいます。
ハイビームにすると、遠くまでライトの光を届けることができ、ドライバーから見ると遠くの歩行者を発見しやすくなり、歩行者から見たら車の接近に早く気づくことができ、事故の防止に役立ちます。
4 交通事故が発生する原因とその対策
交通事故が発生する原因は、主に以下のものが挙げられます。
(1)ドライバーの油断
交通事故の原因としては、ドライバーの油断が大きく影響します。
具体的には、人通りの少ない道路だから歩行者はいるはずがない、ライトをつけているから歩行者が横断してくるはずがないなど、勝手な思い込みで自己の運転に問題はないと油断することは非常に危険です。
ドライバーは油断をすることが無いように注意し、常に事故の危険がないかを意識して適切な運転を行うように注意しましょう。
(2)運転技術(判断力や運動能力の低下)
次に、ドライバーが高齢で、加齢とともに判断力や運動能力の低下することにより操作を誤る場合があります。
高齢者のドライバーは、加齢とともに判断力や運動能力の低下することを自覚し、これまで以上に安全確認を行う、速度を出し過ぎないようにするなどの対策をするようにしましょう。
(3)速度感覚の欠如(初心者の操作不慣れ)
運転免許取得直後やペーパードライバーは、運転操作に不慣れであったり、速度感覚が身についていない場合があります。
事故を予防するために、速度メーターや制限速度を逐一確認したり、慣れない道は経験者に同乗してもらって運転するなどの対策をするようにしましょう。
(4)飲酒運転
飲酒運転は重大な事故の原因になるので絶対にやめましょう。
飲酒運転は厳罰化されており、酒気帯び運転だと3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒酔い運転だと5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
加えて免停や免許取り消しという行政処分や被害者への賠償もしなければなりません。
飲酒運転の場合は、任意保険が使えないケースもあるので、被害者のけがの程度によっては多額の賠償義務を自己負担しなければなりません。
(5)携帯電話の使用
運転しながらの携帯電話の使用は、画面に意識が集中してしまい、周囲の危険を発見することができず、歩行者や他の車に衝突するなど、重大な交通事故の原因になります。
携帯電話の使用により、事故を起こすなどの危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
5 まとめ
今回は、死亡事故の発生原因と事故の遭わないために気をつけるべきことについてお伝えしました。
万一事故を起こしてしまったり、家族や知り合いが事故に遭ってしまった場合は、弁護士にご相談ください。
任意保険等に加入されていて、弁護士費用特約が付されている場合は、相談料や弁護士費用が保険で賄えることがあるので、積極的にご活用ください。
執筆者:弁護士 森本 禎
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