会社だけじゃない?個人的に弁護士と結ぶ顧問契約

2023/8/9

 

「弁護士と顧問契約」、と聞けば会社が行い、個人は顧問契約しないのでは?と考えるのではないでしょうか。
顧問契約の大半は会社関係ですが、個人であっても顧問契約を締結する方は少しずつ増えてきています。
今回は、個人で顧問契約を結ぶメリット、サービス内容、相場等を一緒に見ていきましょう。

1 個人向け顧問弁護士のサービス例4選

弁護士に事件を相談する場合、既に事件が勃発していることが大半です。
個人向けのトラブルの例として、

・交通事故

・離婚

・お金の貸し借り

・SNS等への違法書き込み

・勤務先でのハラスメント、残業代未払い等の労務トラブル

・不動産の賃貸・売買めぐる争い

・騒音トラブル

・近隣トラブル

が挙げられますが、日常生活には多数トラブルが潜んでいます。
この中でも交通事故等、人生において遭遇する可能性が低いものから、近隣トラブル、SNS等への書き込み等、日常生活で発生しがちなトラブルまで、様々なものがあります。
大抵はトラブル発生後に弁護士に相談しますが、トラブルに発展しそうな段階で予め弁護士に相談できれば、大変心強くなります。

(1)契約前のリーガルチェック

日常生活の中で契約書に署名押印することは以外と多く、契約書の中に不利益な条項があることで、トラブルに見舞われる方もいます。
トラブルが発生した後、よくよく契約書を見てみると、自身に不利に作られていた、そんな話をよく耳にします。
トラブルを未然に防ぐには、事前に契約書の確認【リーガルチェック】を行い、契約の内容やメリット・デメリットの把握を行うことをお勧めいたします。

(2)ネット上での問題の対処

最近は大人だけでなく子供達もSNSを幅広く利用しており、書き込んだ内容が違法となり賠償請求を受けることもあります。
また、書かれたくない情報がweb上で暴露され、削除要請を行いたい場面に遭遇するかもしれません。
削除要請にあたっては、迅速な対応が求められるところ、顧問契約を行っておくことで、他の一般事件に比べて早く着手でき、迅速な対応が期待可能となります。

(3)痴漢やストーカー問題

痴漢やストーカー等の被害に遭うと、その後の対応をどうすればよいのか大変不安になります。
警察への対応、また民事賠償など、相手方に制裁を与えるためどのような手段をとればいいのか適確なアドバイスを受けたうえで、相手方との交渉についても全て弁護士に任せることも可能となります。

(4)いじめなどの学校問題

子供のいじめだけでなく、大人においても職場でいじめが問題化しているところがあります。
いずれもひとたび賠償請求可能な程度に発展すると、被害者は心に大きな傷ができ、場合によっては取り返しのつかない状態にもなります。
そのため、このようないじめ等のトラブルの火種が小さい段階で、いつでも相談可能な窓口として顧問契約を締結することで、大きなトラブルに発展させないという役割を果たすことができます。

2 顧問弁護士と契約しておくメリット

(1)問題の早期解決

スポットで弁護士に依頼するためには、毎回弁護士を探し、当該弁護士に連絡を取り、相談した後、委任契約を締結するというように、初動までに時間がかります。
また、電話で相談を受け付けてもらえず、後日日程調整の上相談となることが大半です。
この点、顧問契約をしていれば、質問や不安なことがあれば、予約なしに電話やメールで相談等行うことが可能となります。

(2)トラブルの事前防止

日常生活におけるトラブルについて、弁護士に相談すべきタイミングか、相談するとしてどのように説明すればよいのかお悩みになる方も多いのではないでしょうか。
この点、日頃から小さな心配事・不安についても相談できる窓口(弁護士)があれば、トラブル防止につながります。

(3)顧問料を払うことで、無料で法律相談が可能

一般的に、弁護士への法律相談は、相談時間内で終了し、同じ内容の相談を複数回にて行っても、受け付けてくれないところが多いと思います。
しかし顧問契約は、同じ問題であっても、何度も相談可能なケースが多く、その意味でも顧問契約を結ぶことは、トラブルの未然防止につながります。

3 個人向け顧問弁護士の顧問料相場

個人向けの顧問弁護士制度が大々的に行われておらず、相場は特にありません。
なお、安いところでは数千円~数万円程度です。

4 顧問弁護士を探す方法

弁護士であれば誰でもOK、というわけではありません。
弁護士との相性も重要なポイントです。
ではどのようにして弁護士を探していけばよいのでしょうか?

(1)ネット検索

Googleマップや検索サイトに、「弁護士・顧問」といった検索キーワードを入れ探してみましょう。

(2)各地の弁護士会を利用

各地の弁護士会において、顧問弁護士の紹介を行うところもあります。
そのようなサービスを利用することもよいかと思います。

5 顧問弁護士を選ぶ際の注意点

顧問弁護士を選ぶ場合、どのような分野を得意とするのか確認し、ご自身のニーズにマッチする弁護士かご検討下さい。
またフィーリングも大切です。可能であれば電話等だけでなく、直接会ってお話して顧問契約を締結するかご検討下さい。

(1)月額顧問料における業務範囲を確認

弁護士の業務範囲は、法律相談、契約書のリーガルチェック、契約書や書面の作成等幅広くあります。
そのため、ご自身がどのようなサービスを利用されたいのか、予め弁護士と協議し、業務範囲を特定し、内容に応じた弁護士費用を設定することが重要となります。

(2)問題に合った解決ができる弁護士かどうか

前述の通り、弁護士にも得意な分野、それほど経験を重ねていない分野等、様々です。
顧問契約を検討するにあたり、当該弁護士がどのような分野を得意とするのか、またそれがご自身の要望とマッチするかについて、弁護士と直接面談する等し、ご確認下さい。

6 まとめ

以上のように、トラブルに発展する前の段階から弁護士に相談し対処することは、問題を大きくせず、長引かせないためにも大変重要なことです。
ご自身に顧問弁護士が必要か否か、お気軽にご相談下さい。


執筆者:弁護士 稲生 貴子

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