ビジネスとしての法律事務所の限界

2017/10/22

みなさん、こんにちは。
代表弁護士の瀧井です。
本日は、私が法律事務所の運営を行っていて日ごろ感じていることのうち、法律事務所をビジネス(=金儲け)として捉えることの限界について記したいと思います。

結論としては、私の考え(能力と言ってもいいかもしれません。)を前提とすると、法律事務所を純粋なビジネスの手段として捉えた場合、私一人が運営する法律事務所は、年商3億円程度が最適もしくは限界ということです。

まず、ビジネスをスケールさせる、すなわち売り上げを増加させるためには、①単価を上げるか②回転を上げるかしかありません。
法律事務所は、一般的には人間の労働力に依拠する産業である労働集約型産業と考えられるからです。

これを法律事務所に当てはめると、

①1時間あたりの報酬額を上げる

②-1 単純に労働時間を長くすることで解決までの日数を減らす

②-2 解決に至るまでに弁護士が稼働する時間を減らす

のいずれかになるのではないでしょうか。

私が早期独立を決めたのは、楽しく働けて自己実現ができる職場を作りたいという目標があるからでした。
ですので、単純に労働時間を長くする(②-1)ことを手段として選択することは、この目標とは矛盾するため、採用できません。

また、そもそも時間は有限なのですから、その意味でも、単純に労働時間を長くすることは、根本から限界が見えている手段です(人を増やせば労働時間の総和は増えるのですが、それにより固定コストが増加することは言うまでもありません。)。
また、1時間あたりの報酬額を上げる(①)とした場合、その背景にあるのは、経験や専門性になります。言うまでもなく、現在の当事務所には、売り上げを爆発的に増加させるほどの値上げに値する程の経験も専門性もありません。
強いて言うならば、現状、私個人のパーソナリティーによってお仕事のご依頼を頂戴しているところが大きいので、もしかすると、多少の値上げは選択肢としてあり得るのかもしれません。
ですが、それでもやはり限界がありますし、なにより、私の個性などに依存していては再現性や継続性がありませんので、1時間あたりの報酬額を上げることは、特段優れた選択肢にはなり得ません。

それでは、弁護士が稼働する時間を減らす(②-2)ことはどうでしょうか。
これは、言い換えると、効率化を進めるということになります。効率化を進める唯一の方法は、マニュアル化になります。
ここでいうマニュアル化とは、画一的取り扱いを行うための仕組みを整えることになります。

しかしながら、弁護士が行う業務は、画一的取扱いに適さないものがほとんどです。

なぜなら、一個一個の事案は全く違うからです。
事実も違う、証拠も違う、当事者の思いや性格も違う。
ですので、一見似た事案に見えても、最適解は異なるということは十二分にあり得るのです。
これを画一的に取り扱うことの適否は、価値観によって分かれるところです。
この点、私は、必要なマニュアル化については当然すべきですが、弁護士の業務の多くは、その事件及び関連する人間に目を向けた、オーダーメイドを原則とすべきと考えています。

以上より、私の考えでは、売り上げを増加させるための手段としては、①、②-1、②-2、いずれも適切ではないということになります。
そして、私の経験上、私一人がコミュニケーションを図れる規模は20人程度が限界です。
そのうち半数が弁護士とすると、弁護士は10人となります。
そして、今のところ、弁護士1人が、ライフワークバランスにも気を使いながらこなせる仕事は、売り上げにして年間2000万円から3000万円と考えています。
ですので、私一人で事務所を運営するとした場合の目標年商は3億円となります。

もっとも、楽しく働けて自己実現ができる職場を継続させるには、軍資金が多いに越したことはありません。
ですので、法律事務所で軍資金を稼ぐのではなく、時流とご縁次第で、法律事務所以外の分野にも進出していくべきと考える今日この頃です。


執筆者:弁護士 瀧井 喜博

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