任意整理の概要と具体例

2023/3/2

 

任意整理とは、借金やクレジットカード支払などの「債務」について、貸金業者やクレジットカード会社と交渉することで、債務の総額を減らしたり、月々の返済額を減らしたりすることをいいます。
個人再生や自己破産と異なり、裁判所を利用しない債務整理のことであり、これによって、月々の負担額を減らすことができます。

1 任意整理を弁護士に依頼した場合

弁護士に依頼していただいた場合、弁護士が貸金業者やクレジットカード会社と交渉して、任意整理を行います。

(1)司法書士と弁護士の違い

140万円を超える額の債務がある場合には、司法書士は示談の代理をすることができません。
この場合は、弁護士のみが示談の代理を行えることになります。

(2)取立てのストップ

弁護士が代理人として債権者に受任通知を発送しますと、債権者が本人や親族に取立ての請求をすることが禁止されます。
したがって、一時的にではありますが、借金の支払いをしない生活を確保でき、生活の再建に向けて動くことができます。

(3)信用情報機関への登録

弁護士が任意整理のために受任通知を発送しますと、各金融機関は信用情報機関への登録手続を行います。
これにより、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組むことは難しくなります。
収入の範囲内で生活をするという観点からは、これらはやむを得ないといえます。

2 任意整理費用を支払えない場合

任意整理を弁護士に依頼する場合、弁護士費用がかかりますので、債務の支払とは別に弁護士費用を準備していただく必要があります。
また、弊所では取り扱っておりませんが、法テラスを利用するのも一つです。
法テラスを利用しない場合は、事務所によっては分割払いや後払いに対応している事務所もありますので、まずは、弁護士にご相談ください。

3 任意整理の支払い例

例①

月々の支払額が約20~50万円→約15万円、返済期間約8年
手取り収入で40万~50万円の方でしたので、任意整理後の支払月額も比較的高額となりました。
債務額も多かったのですが、8年という長期にわたる支払条件を合意できました。

例②

月々の支払額が約13万円→約8万円、返済期間約3年
手取りで18万~20万円の方でした。
仕事の関係上、自己破産が難しかったため、任意整理にて解決しました。

なお、いずれの事例も、将来分の利息はカットできております。
任意整理を進めるにあたっては、まずは月収をお伺いし、月収との兼ね合いで無理のない範囲での返済になるよう調整します。
場合によっては賞与の月に返済を多くする形での返済にすることもあります。

4 まとめ

任意整理をすれば、月々の支払額を減らせるというだけでなく、将来発生するはずだった利息や遅延損害金をカットし得るというメリットがあります。
また、仕事に資格が必要な場合や、諸々の理由から個人再生や自己破産が難しいという方の場合、任意整理であれば資格制限等を受けずに債務整理を行うことが可能となります。
月々の支払で困っているとか、債務が膨らんでどうしようもないという場合には、まずは、一度弁護士にご相談ください。


執筆者:弁護士 森本 禎

任意整理に関連する記事

任意整理の特徴

リボ払いは債務整理で減額できる?

▽そのほか、借金に関する記事をお読みになりたい方はこちらから。
借金関連コラム

お問い合わせは以下よりお願い致します。
電話でお問合せ
LINEでお問合せ
メールでお問合せ