ネットの書き込み削除の方法
2022/10/9
InstagramやTwitterなどで「〇〇は美容整形をしている」「〇〇という美容院は高級シャンプーを売りつけてくる」等といった書き込みをされて悩んでいる方はいませんか?
本稿では、不当なネットの書き込みを削除する方法についてご紹介します。
1 自分でもできる削除請求の方法
(1)削除フォームによる削除
サイトや掲示板には、「問い合わせフォーム」や「削除申請フォーム」といった運営側に通報できる機能が用意されていることがあります。
削除のための通報機能が無い場合は、「管理者へのメール」や「お問い合せ」から管理者に連絡を取りましょう。
管理者が投稿を削除してくれる可能性があるのは、名誉毀損やプライバシー権侵害などの権利侵害がある場合や、利用規約の要件を満たす場合です。
そのため削除依頼をする際は、どの投稿が問題なのか、なぜ削除の必要があるのか、利用規約のどの要件を満たしているのか、等を説明する必要があります。
たとえば、名誉毀損を理由に削除を求める場合、どのような書き込みが自分の社会的評価を低下させるのかという説明が必要です。
(2)送信防止措置請求による削除
プロバイダ責任制限法という法律に基づいて、送信防止措置依頼書を送付する方法があります。
送信防止措置依頼書は、権利侵害をする内容の記事や投稿を削除するようプロバイダやサイトの運営者に要求するための申請書です。
送信防止措置依頼書には、以下のような内容を記載します。
・該当記事のURL
・どのような権利が侵害されているか
・権利侵害の具体的内容
・申出人(削除依頼者)の氏名、住所
・投稿者に情報開示してもよいか否か
2 弁護士による削除請求
(1)任意交渉による削除
1で述べた、削除フォームによる削除、送信防止措置請求による削除を弁護士が代理して行う方法です。
弁護士名義でこれらの方法を実施することで、「法的措置を取られるかもしれない。」と思わせ、誠実な対応を促すことができる場合もあります。
また、削除の要件に該当するか否かの判断には弁護士による専門的な知見があるに越したことがないので、コスト面と相談のうえ弁護士へ依頼すべきかを検討してみてください。
(2)法的な対処による削除
1の任意交渉による削除が功を奏しない場合、法的手段による削除の方法もあります。
裁判所に削除の仮処分命令を出してもらう方法です。
さらに、発信者情報開示請求もすることで、当該記事や投稿を作成した者を特定することが可能です。
この請求をして相手方(投稿者)を特定できれば、相手方(投稿者)に対して損害賠償請求も可能になります。
ただし、発信者情報開示請求は、プロバイダに対する発信者情報消去禁止の仮処分の申立てによって行いますが、プロバイダはIPアドレスの使用者に関する情報を3か月程度しか保存していません。
そのため、投稿日から3か月以内に同申立てをしなければなりません。法的な対処を検討される方は、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
3 弁護士以外の専門業者に依頼する場合の注意点
(1)誹謗中傷対策業者による逆SEO対策
SEOとは、検索エンジン最適化の略称で、SEO対策は特定の検索キーワードにおける検索上位表示を狙うことをいいます。
一方、逆SEO対策とは、特定の検索ワードで表示される自社にネガティブなサイトの検索順位を落とすことを狙う方法です。
ただし、あくまでも専門業者は、検索結果の内容を一時的に変更するにすぎず、該当記事や投稿を削除してくれるわけではありません。
(2)削除「代行」業者は違法?
ネットの書き込みの削除代行を弁護士以外の者が行うことは非弁行為にあたります。非弁行為とは、弁護士法に定められている弁護士のみに認められている行為を弁護士以外の者が行うことです。
東京地裁平成29年2月29日の判決では、ネットの書き込み削除については、非弁行為にあたるとされました。
同判決の事案は、男性がインターネット上の個人情報を削除代行会社に依頼し、同社がサイト運営者に削除を求めたものの、一部削除されず、男性が代金返還を求めたというものです。
同判決を受けて、弁護士と提携して削除代行サービスを提供していると謳う業者も出てきています。
しかし、弁護士以外の者が、弁護士と提携しているとして削除代行業務をおこなうことも弁護士法違反となりえます。
4 まとめ
ネット記事や投稿の削除についての代理は、弁護士しか行うことが出来ません。
まずはご自身でやってみて、それでもダメなら弁護士に相談することをお勧めします。
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執筆者:弁護士 瀧井 喜博