交渉を弁護士に依頼する際の考慮要素
2017/7/18
こんにちは。代表弁護士の瀧井です。
みなさんは、交渉はお好きですか。
人によっては、「弁護士の仕事は訴訟だ。交渉は自分でやる。」と考えるかもしれません。
しかし、私は、あくまでも私見ではありますが、原則として、交渉段階から弁護士を入れるべきだと考えています(「原則として」としたのは、あえて弁護士を表に出さないことで、有用な証拠を収集した方がいいこともあるからです。当事務所では、そのような場合に備え、バックアッププランという制度も用意しております。)。
その理由を、本人が(弁護士に依頼せず)交渉を行うデメリットと、交渉を弁護士に依頼するメリットという順番で、以下お話しさせていただきます。
1 デメリット
本人が交渉を行うデメリットは、大きく分けて2つあります。
(1)本気度が伝わらない
まず、相手に本気度が伝わらない点です。
確かに、弁護士に依頼をすると、安くないお金がかかります。
ですので、損得勘定から、自分で交渉を行うという選択肢もあり得ます。
しかしながら、損得勘定を持ち出す時点で、冷静さを維持しており、怒りのバロメーターが振り切ってはいないと思われてしまう可能性があります。
また、交渉の行き着く先は裁判ですが、裁判をやりたい人はそうそういないでしょう。
そうすると、交渉がうまくいくかの一つの目安として、どれだけ裁判をやりたくないかということが挙げられます。
こちらが相手より裁判を恐れているのであればこちらが譲歩しなければなりませんし、逆に、相手に裁判にはしたくないと思わせることができれば、より良い結果が生まれる可能性が出てくるわけです。この点、弁護士が交渉するからこそ、相手にとって裁判が現実味を帯びて迫ってくるのです。
本人が交渉を行っても、むしろ、裁判を恐れているからこそ弁護士を入れていないんじゃないかと思われてしまう可能性もあります。
(2)恐喝や脅迫だと言われてしまう可能性
本人が交渉を行うデメリットの2つ目は、交渉のやり方によっては、恐喝や脅迫に当たってしまうことです。
交渉なので毅然とした対応を行うべき場面も多いですし、このあたりのさじ加減は本当に難しいものがあります。
ただ、明確に言えるのは、相手方に責任追及をしていた側なのに、気がついたら自分が責任を追及されていたという事態は絶対に避けるべきということです。
2 メリット
上記のようなデメリットが相対的に少ないことが、交渉を弁護士に依頼するメリットの一つです。
(弁護士に依頼をすると、費用がかかる、打合せの時間が取られる等の他の心配事も出てくるかもしれませんが、今回はあくまでも、交渉をいかに有利に持っていくか、に焦点をあてています。
もっとも、後者は、弁護士に話をすることで気持ちの整理になりますので、必ずしもデメリットとは言えないんじゃないかと思います。)
では次に、具体的なメリットについてお話します。
(1)法律の専門家であること
交渉を弁護士に依頼する他のメリットとしては、分かりやすいところでいうと、弁護士は法的知識がある専門家であるということです。
今日、インターネットの普及によって、法的知識についてもインターネットである程度拾うことができます。
しかし、特定の分野の専門家の方であればご理解いただけるところと思うのですが、インターネットの知識というのは、どうしても断片的で深みに欠けます。
また、調査方法によって得られる知識も全く変わって来ます。
したがって、インターネット頼みの交渉では、どうしても穴が出てきたり、落としどころを見誤ったりする危険があるのです。
この点、法律の専門家である弁護士であれば、相対的に、そのような危険は少ないと言えます。
(2)安心感
専門家が自分の代わりに手続きを進めてくれるという安心感も、メリットとしては外せません。
自分で交渉を行った場合には、一定の成果を上げても、本当にこれでよかったのかという思いはどこかに残ってきます。
しかし、この人はと信頼した弁護士の出した成果であれば、後悔は少ないでしょう。
(3)トラブルからの解放
最後に、単純に、第三者にトラブルの処理を委ねることによる解放感を挙げておきます。
通常、トラブルを身近に抱えているというのは、精神的に大きな負担になるものです。第三者にトラブル解決の主導権を投げてしまうことで、極めて大きな解放感を得られます。
当事務所に来られる依頼者の方々からも、ご依頼いただいた時点で、「ずいぶん気が楽になりました。」とのお声を頂くことも少なくありません。
ただし、あくまでも自分の事件であることには変わりはなく、弁護士に依頼するということは一緒に戦うパートナーを得たというだけであって、丸投げはできないということには注意が必要です。
つまり、弁護士の指示のもと証拠収集を行ったり、随時打合せを行ったりする必要はあるということです。
それを差し引いても、この解放感はメリットとして挙げることができると思います。
3 まとめ
以上より、私は、交渉事であっても積極的に弁護士を活用すべきと考えています。
当事務所では、通常のプランよりリーズナブルなバックアッププランも用意しておりますので、紛争の初期段階であっても、お気軽にご相談ください。
また、トラブルを機に弁護士とつながることで、今後の人生がより良いものになるという副次的な効果もあるのではないでしょうか。
このような効果の観点から言うと、自分と価値観が合う弁護士を見つけることがいいのではないかと思います。
今日は、交渉を弁護士に依頼するメリットについてお話しさせていただきました。
面倒ごとに巻き込まれた際には、参考にしていただけると幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
執筆者:弁護士 瀧井 喜博