「行動の品質」を読んで

2021/1/25

 

代表弁護士の瀧井です。
先日、私が独立前よりお世話になっている、友人でもあるとある人物が、『行動の品質』という本を出版しました。
その人物とは、株式会社ウェイビーの伊藤健太さん(通称イトケン)です。
彼がどのような人物であるかは興味を持たれた方ご自身に検索等していただくとして、今回は、この本の内容のうち、私が特に共感できたところや、私が考えたことを述べさせていただきます。何かの参考になれば幸いです。

1 ピンチはチャンスのマインドセット

マインドセット=「考え方の源」の在り方により、同じ事象でも異なる意味合いを持ってきます。その端的な例が、「失敗」です。「失敗」の捉え方を、自転車の練習を例に挙げて、「失敗は転ばないこと」と、分かりやすく解説しています。
そして、マインドセットを変えるためには、目的をすべて「自分の成長」に置くとしています。あらゆる「失敗」は、成長への実験なのです。
本書で出てきた「空気を読むことと空気を読まないことのバランス」という印象的なフレーズ。これも、時代の変化に応じてマインドセットを変えなければならないということを意味しています。

2 「行動の品質」とは

(1)総論

本の題名にもなっている「行動の品質」。伊藤さんは、この言葉の意味を、「成果を出すために、最小のエネルギーで、最大にして最高の結果を得ようとする考え方・行動」と定義します。そして、さらに進んで、以下の3つの要素に分解します。

①最速最短最少で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える。

②1つの行動がそれだけで終わらず、良い波紋を広げることを考える。

③自分だけでなく、そもそもまわりを巻き込もうと考える。

(2)各論

VUCAの時代

私は、特に①について、色々考えさせられました。
伊藤さんは、努力そのものの大切さは認めながらも、「努力なく成功した」ことを良しとしないことへ警鐘を鳴らします。
現在、そしてこれからの時代は、VUCAの時代と言われています。すなわち、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ち溢れており、これまでの常識や前例は通用しません。特に、エリートと言われる層ほど、学校教育の弊害を大きく受けています。学校教育において評価を受けてきたということは、多くの場合、既存の道具を上手に使う能力が相対的に高いことを認められてきたにすぎないのです。権威や常識への素直さも、学校教育においては有利に働くでしょう。ですが、これからの時代は、既存の道具を使いこなせるだけではダメなのです。

伊藤さんは、肉体的なもの・物理的なものにフォーカスが当たりがちな既存の「努力」の概念ではなく、頭を使って、そもそもから疑うことで、もっと良い方法ややり方を見つけて、結果として圧倒的な成果に変えることを、行動の品質を高めるために必要な「努力」としています。
そして、既存の作業の効率化でしかない「進歩」だけでなく、まったく別のものを組み合わせて生まれる「イノベーション」こそが、これから求められると説きます。

問題設定能力

さらに、現状打破のための第一歩として、「答えではなく、問いを変える」ことを提唱します。「間違えた問いに正しく答えること」に価値はありません。「正しい問いに正しく答えること」が重要なのです。これまで、世間では、「問題解決能力」が重要視されてきました。これでは「イノベーション」など起きようがありません。皆が同じ問いに対して答えるならば、そこで生まれる最適解は皆同じになるでしょう。

VUCAの時代だからこそ、問題設定能力がポイントになるのです。学校教育において問題設定能力を教えて貰う機会などあったでしょうか。問題設定能力は、私たち自身が、実践によって養っていかなければなりません。

「WHY」の重要性

伊藤さんは、「なぜ」の意識や、「リフレーミング」の考え方などにより問題設定を行う方法を具体的に解説しています。特に「なぜ」=「WHY」の重要性には熱く言及しています。私も、以前、「WHY」の重要性について論じさせていただいております。伊藤さんは、さらに、「WHY」という情熱は、経験(行動)から育つということも言っています。※実は、弊所の法人名「A&P」もここから来ています。実は、「Action & Passion」の略なのです。

以上を踏まえて、「行動の品質」の高め方を、具体的かつ柔軟に論じているのが、『行動の品質』という本になります。参考になれば幸いです。


執筆者:弁護士 瀧井 喜博

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