時効について

2019/6/18

こんにちは。
みなさんは、「時効」という言葉を聞いたことはありますか?刑事ドラマでも、捜査官が時効を気にしている場面があったりしますよね。
今回は、時効についてのお話です。

1 刑事事件で問題となる時効

刑事事件で問題となる時効は、主に、「公訴時効」というもので、刑事訴訟法250条によって定められています。
他にも「刑の時効」というものもありますが、刑事ドラマなどで問題となっている時効とは、ほとんどが「公訴時効」のことです。
公訴時効は、その犯罪の法定刑(ある犯罪に対して法令が規定している刑罰のこと)により、異なる期間が定められています。そのため、どの犯罪かによって、公訴時効は異なっています。
たとえば、現在の法律によると、現住建造物放火罪などの公訴時効は25年、窃盗罪や詐欺罪などの公訴時効は7年になります。

2 民事事件で問題となる時効

時効があるのは、刑事事件だけではありません。
民事事件にも時効はあります。
そもそも、時効制度の意義は、占有や権利不行使という事実状態が一定期間継続した場合に、この事実状態に合った新たな権利関係を形成する制度だと考えられています。
権利の上に眠る者は保護しない、といわれることもあります。
民事事件で問題となる時効には、「消滅時効」と「取得時効」がありますが、時効の効力は、起算日にさかのぼって生じます。
すなわち、消滅時効が成立すれば、起算日から権利を有していなかったことになり、取得時効が成立すれば、起算日から権利を有していたことになるのです。

3 消滅時効成立のための期間

それでは、借り入れをした場合の消滅時効は、何年で成立するのでしょうか。
消滅時効は、権利を行使できるときから進行します。つまり、権利を行使できる時点が、起算点となります。
民法の原則では、債権の消滅時効の期間は10年と定められています。しかし、契約の当事者が商人である場合には、取引に迅速性が求められることから、借金の時効が5年に短縮されます。これを、「商事債権の時効」といいます。
これにより、たとえば、貸金業者からの借入れや、借入自体に商事性が認められる場合の時効は5年になります。
他方で、商人ではない個人からの借入れの場合には、一般の民事時効が適用され、時効期間は10年になります。ただし、個人事業者などが営業目的でした借入れなどは、商事性があるので時効期間は5年となります。
また、短期の消滅時効にかかる特殊な債権も存在します。たとえば、工事の設計、施工を業とする者の工事に関する債権などは、3年の消滅時効にかかると法律で定められています。

4 時効は援用が必要

時効の効果が発生するためには、時効の「援用」が必要となります。
援用とは、時効の利益を受けることを相手に伝えることをいいます。
簡単にいうと、「時効なので、もうお金払いませんよ」ということを相手に伝えることなどです。
これは、民法が、時効の利益を受けることを潔しとしない当事者の意思を考慮して、時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないとされているのです。
時効の援用は裁判外でもできます。たとえば、内容証明郵便で相手に通知することでも援用は可能です。

5 時効の中断と停止

(1)時効の中断

時効の中断とは、それまで進行してきた時効期間が全く効力を失うことです。たとえば、訴えを提起したり(「請求」といいます。)、時効により利益を得る者が他人の権利を認めたりする(「承認」といいます。)と、時効は中断します。
どのような行為が「承認」にあたるのかを理解していなければ、無意識に債務を承認してしまっているケースもあります。

(2)時効の停止

時効の停止とは、時効完成時点において時効中断措置をとることが類型的に困難な場合に、時効の完成を一定期間猶予する制度です。
たとえば、時効完成間際に、天災などで通信手段も交通手段も途絶して「請求」できないような場合には、障害消滅時から2週間経過まで、時効は完成しない、とされています。

6 おわりに

上記のように、時効の問題については、起算点が非常に重要となります。しかし、債務者が無意識に債務を承認してしまっているような場合もあることから、消滅時効が成立しているかどうかの判断は、ご自身では難しいところであります。
弊所では、時効の成否の判断をはじめ、時効援用の通知書作成などのお手伝いもいたします。
時効についてお困りの際には、是非お気軽に、ご相談にいらしてください。