事務局便りvol.59(フリースロー)

2023/9/28

 こんにちは。事務局のMです。
 ここのところ、バスケットボール、ラグビー、バレーボールと、連続してワールドカップが開催されていますね。
 バスケットボールW杯では、遂に自力でオリンピックへの切符を勝ち取った選手たちの姿に、にわかファンである私も胸が熱くなりました。

 運動神経たるものを全く持ち合わせていない私ですが、実は、中学生のころ、バスケットボール部に所属していました(ここで事務所の皆から「えーっ!」という声が聞こえてきそうです)。
 とはいえ、クラブ活動への参加は強制であったにも関わらず、文化系のものは美術部または吹奏楽部しか選択肢がなく、そのどちらにも関心がもてなかったので、友達にくっついて入部したにすぎません。
 背が低いためゴール下はもってのほかでしたし、あまりに非力すぎて3Pシュートも届かないという、万年補欠の役立たず部員でした。

 そんな落ちこぼれ選手でもできたこと、それがフリースローでした。
 チームスポーツであるバスケットボールの中で、唯一の個人技と言ってもよいのがフリースローです。
 3Pシュートも個人技ですが、フリースローは相手のディフェンスをかわす必要がないという点が異なります。
 そして何よりもゴールまでの距離が短い、これが3Pシュートを打てない私にとっては非常に重要なことでした。
 数少ない出場機会であったにも関わらず、とある練習試合で失敗してからというもの、チーム全体の練習後に欠かさずフリースローを10本打つと決めて、コツコツと練習に励みました。
 再び数少ない試合への出場機会に恵まれたとき、相手のファウルでフリースローのチャンスが巡ってきました。
 ファウルのホイッスルが鳴った次の瞬間から、日々黙々とシュートを打ち続けた姿を知るチームメイトの歓声が、異様に大きくなったことを覚えています。
 無事に2本成功し、そのたった2点が、万年補欠の落ちこぼれ選手がチームに貢献した唯一の得点になりました。

 大学の就職活動のとき、「あなたの成功体験を教えてください」という問いに言葉を詰まらせたことを覚えていますが、今思えば、これが私の成功体験だったのかもしれません。
 大切なことは、たとえどんな些細なことでもいい、今の自分にできることを確実にやること、そして、それを自らの力で見つけられることだと思います。
 私のかつての職場の後輩で、誰に言われずとも、複数台あるコピー機の全てに、毎朝コピー用紙を補充してくれていた新人がいました。
 接客業でしたので、混雑時にコピー用紙がなくなると、補充する時間の分だけお客様をお待たせしてしまいます。
 始業時にコピー用紙を補充しておくことは、入社間もない新人であってもすぐにできること。
 それに自ら気づいて即行動したその後輩はやはり、お客様からの評価もすこぶる良く、あっという間に一人前のスタッフに成長しました。
 そんな簡単なことと軽んじられるようなことであっても、今の自分にできることを、自ら見つけられるか否か。
 その違いはのちのち大きな差に繋がります。
 さて、今の私には、今ここで何ができるか。
 
 わずか2点の貢献からすでに何十年もの月日が経過していますが、いつまでもその初心を忘れずにいたいものですね。