モラハラをする相手と離婚するために

2023/10/11

 モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、法律上の定義はありませんが、身体的暴力はないものの、心無い言葉や人格を否定する発言を行ったり、無視するといった態度で相手方を精神的に追い詰める行為をいいます。
 内閣府男女共同参画局では、「心無い言動等により、相手の心を傷つけるもの」として精神的DVとして位置づけられています。
 今回、
・モラハラが理由でも離婚できるのか
・モラハラ夫(妻)と離婚したいけどどうしたらいいのか分からない
 など、配偶者のモラハラでお悩みの方に、離婚するためにどのように進めていけばよいのか解説いたします。

1モラハラの特徴

 配偶者からの心ない言動等により精神的苦痛を受けた場合、人によって感じ方が異なることから、モラハラに該当するか判断が難しい場合があります。
 では、どのような行為がモラハラに当たりうるのでしょうか。

2モラハラとなる行為・態度

 モラハラとなる行為・態度について、次のようなものが挙げられます。

①暴言を吐く

「バカ」「そんなことも知らないのか」「役立たず」等の言葉を繰り返す。

②大声で怒鳴る、大きな音を立てる

突然大声で怒る、物に当たり大きな音を出す等。

③無視する

長期間会話を拒否して、相手方と話さない。

④不機嫌な態度をとる

理由もなく、常に不機嫌そうに振る舞い、相手方を委縮させる等。

⑤相手方の話しや趣味など否定

相手方の趣味や言動に、一つ一つ否定的な反応を行う。

⑥食事を共にしない

⑦他人の前で蔑み、笑いものにする

 

 このような行為について、長期間にわたり繰り返し行い相手方に強い不快感を与える場合は、モラハラに該当する可能性があります。

3モラハラで離婚を成立させるためには

 離婚は夫婦が協議により合意に至れば成立します。
 もっとも、モラハラを行う側は、自分自身は正しいと考え、自分のルールに従い物事を判断する傾向にあります。
 そのため、モラハラを理由に離婚を求められても、自分は間違えていないとして離婚に応じないことも多くあります。
 夫婦間の協議では離婚について合意できない場合、離婚調停を行い、調停でも離婚が成立しない場合は、離婚訴訟を行うこととなります。
 離婚訴訟では、「法定離婚事由」(民法で定められた離婚ができる理由)のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを証明しなければなりません。
 しかしながら、モラハラはその性質上、直接的な被害が目に見えにくい上、内容や程度にも差があることから、予め証拠を収集しておかなければ証明することが難しいケースが多いです。
 では、モラハラを理由に離婚調停・訴訟を行うには、どのような準備を行っていけばよいのでしょうか。

(1)モラハラを立証する証拠を揃える

 まずは、どのようなモラハラが行われたのか明らかにするためにも、モラハラ行為を記録した証拠を揃えましょう。

①相手方のモラハラ発言・言動を録画・録音

ボイスレコーダーや携帯電話の録音機能を利用してもよいでしょう。

②モラハラの内容が記載されたLINEやメール等を保存

③モラハラを受けたことを記載した日記

モラハラ行為について、いつ、どのようなことをされたのか、具体的に記載しておいた方がよいです。

④精神科等の診断書

モラハラ行為を受けてうつ病等に罹患した場合は、診断書を取得しておくことをお勧めします。

⑤第三者の証言(家族や友人等、モラハラ行為を見聞きした人)

(2)別居を検討する

 モラハラ行為は、相手方が態度を改善することは難しく、同居している限り継続することが大半です。
 またモラハラ行為がエスカレートすることで、被害を受けている側が精神疾患等に罹患することもあります。
 ご自身の心身のためにも、モラハラを受けている場合は別居を検討してみましょう。
 仮にモラハラ行為が立証できない場合であっても、別居期間が長期にわたる場合、既に夫婦関係が破綻しているとして、離婚訴訟において離婚が認められる可能性が高くなります。
 目安としては、3年程度といわれることがありますが、婚姻期間との対比も重要ですので、必ずしも3年という数字にこだわる必要はありません。
 なお、別居に当たっては、相手方が妨害する可能性もあるため、相手方に知られないよう慎重に準備し、相手方が不在の間に行った方がよいでしょう。
 また、別居にあたってモラハラが理由で別居をすることを、置手紙やLINE等で相手方に知らせておきましょう。

(3)弁護士などの第三者に相談する

 長期にわたりモラハラを受けると、自己肯定感が低くなり、相手方が正しく自分は間違えていると考える人も多くなります。
 そのためモラハラを受けていると感じた場合は、なるべく早くに家族や友人等、身近な人に相談してください。
 夫婦問題を扱うカウンセリング機関等を利用してみてもよいでしょう。
 具体的に離婚も検討される場合は、事前にどのような準備をすべきか、また離婚調停等どのタイミングで起こすべきか等、法的アドバイスを受けることも可能です。

4モラハラをする夫(妻)と離婚する際の手順

 モラハラが理由で離婚を求める場合であっても、他の原因で離婚する場合と同様、(1)夫婦で話し合い、(2)離婚調停、(3)離婚訴訟という流れを経ます。
 では、それぞれどのようなことに注意すればよいのでしょうか。

(1)まずは夫婦で話し合い

 夫婦関係に関する問題は、原則は夫婦間で協議し決めることとなります。
 しかしながら、モラハラを受けている場合は、協議の中でも理不尽な対応を取られることもあり、協議そのものができない可能性もあります。
 また、長期にわたりモラハラを受けたことにより、正常な判断ができず相手方に言いくるめられる可能性もあります。
 そのため、夫婦間での協議が難しい場合は無理をせず、どのように離婚手続きを進めていくべきか弁護士にご相談下さい。

(2)離婚調停を申し立てる

 話し合いで離婚の合意に至らなかった場合は、離婚調停を申し立てることになります。
 離婚調停とは、調停委員が間に入り双方の話しを聞き、相手方に伝えることで、双方顔を合わさずに離婚の話しを進めることができます。
 調停委員は離婚について法的判断を示す立場にはありませんが、心証的に味方になってくれれば、離婚に向けて有利に話を進められる場合もあります。
 一方で、モラハラは家庭内で行われることが多く、モラハラ被害について説明するだけでは、調停委員に伝わらない可能性もあります。
 そのため、事前にモラハラ行為を証明する証拠を揃えて、調停に挑み、調停委員にどのようなモラハラ被害を受けてきたのか、きちんと理解してもらいましょう。

(3)最終的には離婚裁判

 離婚調停においても離婚に合意せず、調停不成立となった場合、離婚をするには離婚訴訟で争うこととなります。
 離婚訴訟では、法定離婚事由の存否により離婚の可否が判断されます。
 そのため、モラハラ行為について、その程度や、具体的内容等を客観的に証明することが極めて重要となります。

5モラハラで慰謝料は発生するのか

 モラハラ被害を受けた側は相手方に対して、その内容が民事上違法といい得る内容であれば、被った精神的苦痛に関して慰謝料を請求することが可能です。
 しかしながら、モラハラは主に家庭内で、外部からは見えにくい状況で行われる傾向にあります。
 そのため、慰謝料請求が認められるためには、モラハラ行為の具体的内容や程度等について客観的証拠をもって十分に主張立証する必要があります。
 慰謝料の額は、モラハラ行為の具体的内容、程度、期間等を総合的考慮して判断され、一般的には数十万~100万円程度が相場となります。
 なお、
 ・モラハラ行為の頻度が高い
 ・被害を受けていた期間が長期にわたる
 ・モラハラが原因で精神疾患となった
 ・被害者に落ち度がない
 といった場合には、悪質性が高いものとして慰謝料額が高くなるケースもあります。

6まとめ 

 モラハラは物理的な怪我を負わせる身体的暴力とは異なり、目に見えにくいものですが、その内容や程度によっては離婚事由となりうるものです。
 モラハラ被害について、お一人で抱え込む必要はありません。
 モラハラを理由とした離婚でお悩みの方は、一度弊所にご相談下さい。
 離婚に向けて証拠の集め方や、慰謝料請求に向けた有益な法的アドバイス等、対応いたします。