離婚に必要な準備、手続とは

2023/5/30

 「離婚したい」そう思った時に、あなたの配偶者は応じてくれるでしょうか。

 「円満」な離婚などないかもしれませんが、この記事では、できる限りスムーズな離婚を実現するために何が準備できるか、お伝えしたいと思います。

1離婚の方法

 離婚には、大きく分けると、以下の4種類があります。

(1)協議離婚

 夫婦間の協議、すなわち、話し合って離婚することをいいます。

 役所に「離婚届」を出す形で行います。

 離婚協議書の作成は義務ではありませんが、夫婦間の決め事を「離婚協議書」にまとめておくこともあります。

 弊所では、夫婦間で話し合った結果について、「離婚協議書」の作成のみのご依頼も受けております。

(2)調停離婚

 家庭裁判所の調停の手続で離婚することをいいます。

 中立的な立場の調停委員を通じて、お互いの希望を出し合い、「合意」を目指します。

 その意味では、裁判所で行う「協議」ともいえます。

 裁判の前には、原則として調停を経る必要があります。

 弊所では、調停離婚として受任しつつ、調停の期日間にも協議を進め、できる限り早期に調停がまとまるよう努めることも多いです。

(3)審判離婚

 裁判所が、離婚すること及びその条件について判断(審判)を下し、その審判内容に従って離婚することをいいます。

 裁判を経ていないにもかかわらず、夫婦以外の者が判断するという意味では例外的な手続となりますので、審判結果に不服がある場合は、異議を出すことができます。

 そのため、実際はほとんど利用されておらず、たとえば、ほぼ合意できているものの、一方が裁判所に出頭できない等の例外的なケースで利用されることが多いと思います。

(4)裁判離婚

 裁判を通じて行う離婚をいいます。

 裁判中に和解によって離婚するケースもありますが、和解できなければ、判決によって離婚するかしないか、する場合はその条件が決まります。

 判決で離婚を認めてもらうためには、法定の離婚事由が必要となります。

 裁判となってくると、裁判特有のルールもあり、代理人弁護士に依頼せずに進めるのは難しくなってくるかと思います。

2離婚前に準備しておくべきことは?

 配偶者の顔も見たくない、とにかく早く離婚したいと思ったときには、すぐに離婚届をつきつけたくなるかもしれませんが、まず、冷静になって、離婚した場合について想像してみましょう。

 配偶者と離れてどのように生活していくか、金銭的なこと、仕事のこと、子育てのことなど、冷静に考え、準備する必要があります。

(1)本当にすぐに離婚すべきか

 たとえば、婚姻中は仕事をしていなかったという場合、今すぐ離婚して、生活していけるでしょうか。

 このような場合、とにかく早く離婚するというよりも、まずは、仕事を見つけ、住む場所を確保し、離婚後を見据えた生活を始めるという方が得策かもしれません。

 婚姻中、別居を開始した場合、配偶者に対し、生活費として「婚姻費用」を請求できる場合もあるので、弁護士にご相談ください。

(2)離婚条件を整理する

 離婚をする場合、①財産分与、②慰謝料、③年金分割などが問題となります。

 また、未成年の子がいる場合には、④親権、⑤養育費、⑥面会交流も問題となります。

 特に、④親権は、必ず決めなければ、離婚することができません。

 ①については離婚から2年、②離婚慰謝料については離婚から3年しか請求できません。

 金銭的な面については、いくらもらうのが妥当なのだろう、等の疑問も出てくるかと思いますので、弁護士にご相談ください。

(3)離婚原因とその証拠を整理する

 協議や調停で離婚に応じてもらえない場合には、裁判となり、裁判では法定の「離婚原因」(=婚姻を継続し難い重大な事由)が必要となります。

 協議や調停でも、「何も離婚原因がないのであれば応じない」と争われることもあり得るので、離婚原因とその証拠を確認しておくのがよいでしょう。

3離婚届の提出手続き

 離婚の種類によって、記載事項と添付書類が異なります。

(1)協議離婚の場合

 協議離婚の場合は、離婚届を提出することによって離婚の効果が発生します。

 協議離婚の場合は、夫婦ともに記載する欄があります。また、証人として成人2名の署名も必要となります。

 作成した「離婚届」は、夫婦の本籍地又は所在地の役所に提出してください。

 本籍地以外の役所に提出する場合は、夫婦の戸籍謄本を添付する必要があります。

 書き方や、提出書類等にご不安がある場合には、お近くの市役所、区役所、町村役場にお問い合わせください。

(2)調停・審判・判決等での離婚の場合

 調停離婚の場合は、調停成立から10日、審判や判決等での離婚の場合は、その確定から10日以内に離婚届を提出する必要があります。

 裁判所を通じた離婚の場合、離婚届には申立人(原告)のみが記入すれば足ります。

 作成した「離婚届」は、夫婦の本籍地又は所在地の役所に提出してください。

 本籍地以外の役所に提出する場合は、夫婦の戸籍謄本を添付する必要があります。

 また、離婚届を提出する際には、それぞれの手続に応じて、調停調書謄本、審判書謄本・確定証明書、判決書謄本・確定証明書を添付する必要があります。

 書き方や、提出書類等にご不安がある場合には、お近くの市役所、区役所、町村役場にお問い合わせください。

(3)離婚届を勝手に提出されないようにするには

 配偶者と離婚したくない場合や、望まないタイミングでの離婚は避けたいという場合には、役所で「不受理申出」をしておくのがよいでしょう。

 不受理申出は、申出人が取り下げない限りは有効となります。

7まとめ

 どのように離婚を進めるべきか、どのような準備が必要かは、夫婦によって異なります。

 離婚しようと頭によぎったという場合、すぐ離婚届をつきつける前に、まずは弁護士にご相談ください。