婚約中の浮気で慰謝料請求はできる?

2024/2/13

婚約中にパートナーが性行為を含む浮気をした場合、パートナーや浮気相手に慰謝料請求できるのでしょうか?
今回は、婚約中のパートナーの浮気に関する慰謝料請求について解説していきたいと思います。
なお、この記事では当事者が複数登場しますので、ここでは、あなたの婚約者を【パートナー】、あなたの婚約者と浮気をした者を【浮気相手】と表記します。

1.婚約中に浮気をしてしまうよくある理由

結婚式や新生活の準備をする等、忙しいながらも楽しい時間を過ごすことが多い婚約期間。
そんな中、パートナーが浮気をしたとご相談を受けることが少なからずあります。
籍を入れる前に最後に遊んでみたかった、マリッジブルーでパートナー以外との関係に思わず逃げた、そもそも浮気癖があった、等理由は様々ですが、本来楽しいはずの婚約期間中の裏切りは悲しいものです。

2.婚約中の浮気の慰謝料~損害賠償請求~

婚約中に浮気された場合、不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)として、パートナー及び浮気相手に対し、慰謝料を請求できる可能性があります。
では、どのような場合に慰謝料請求が可能なのでしょうか。

(1)婚約の成立

「婚約」とは、男女が将来夫婦になろうと合意することをいいます。
法律上の結婚であれば役所に婚姻届を提出する必要がありますが、婚約は契約書や合意書等の作成は不要で、当時者間で意思が合致(合意)しさえあれば成立します。

とはいえ実務において婚約が成立したと言えるためには、当事者間の意思だけでなく、客観的に婚約をしたといえるような言動が必要とされています。
具体的にどのような事実関係や関係証拠が必要か、については後ほど説明いたします。

(2)浮気相手の婚約事実に対する悪意・有過失

交際中にパートナーに浮気をされることは、大変腹立たしいものです。
しかしながら、法律上では自由恋愛において浮気をしても不法行為は成立しないと考えられており、単なる交際に留まる場合は、浮気であっても慰謝料は発生しません。
そこで、浮気当時に、パートナーが婚約中であったのか否かを、浮気相手が認識していたかが重要となり、浮気相手に対する慰謝料請求の際には、浮気相手が「婚約の事実まで知っていたこと(悪意)」もしくは「注意していれば知ることができた(過失)」が必要となります。

(3)時効が成立していない

慰謝料請求について、無期限で行えるものではなく、「時効」というものがあります。
時効を迎える前に慰謝料請求する必要があります。

不法行為に基づく慰謝料請求の場合は、

■浮気の事実と浮気相手を知った時(パートナーに対する請求の場合は、浮気の事実を知った時)から

又は

■浮気の事実があった時から20年間

を経過すると、慰謝料請求権は時効により消滅します。
もっとも消滅するといっても、時効は請求される側が、請求権が時効で消滅したと主張する必要があります(時効の援用)。
そのため、パートナーまたは浮気相手が時効を援用せず、任意に支払いに応じるのであれば、この限りではありません。

また、浮気相手の顔は分かるものの氏名、住所等が分からず特定できない場合は、「浮気相手を知った」にあたりません。
パートナーへの慰謝料請求については、浮気相手が具体的に誰かまで特定する必要はなく、浮気の事実を知った時から消滅時効の期間がスタートします。
このように、パートナーと浮気相手への慰謝料請求の時効期間のスタート時期が異なる場合があるので、ご注意下さい。

3.慰謝料額算定の主な要素

婚約中の浮気に関する慰謝料について、個別に判断されることから一概に判断できませんが、以下のような事情が考慮されます。

(1)婚約期間

婚約したばかりではなく、間もなく入籍という程度に婚約期間が経過している場合結婚への期待も高くなることから、婚約したばかりの頃に比べて慰謝料額を増額する考慮要素となりえます。

(2)婚約準備の有無

結婚式場の本予約や、両家の顔合わせが済んでいること、職場や友人へ婚約の報告を行っている等、入籍に向けて本格的に準備が進んでいる場合は、結婚への期待も当然高く、またそのような時点での裏切り行為は精神的苦痛が大きいと考えられることから、慰謝料増額の考慮要素となります。

(3)妊娠の有無

婚約している女性が既に妊娠している場合は、婚約をこのまま継続するか等、子どもにも大きな影響を与え、また女性の精神的苦痛は甚大なものとなることから、妊娠をしていない場合に比べて慰謝料増額の要素となります。
婚約を破棄したうえで出産する場合は、子供の認知や養育費について協議が必要となります。

4.慰謝料の相場はいくら?

婚約中の浮気の慰謝料相場は、数十万~200万円程度といわれています。
もっとも婚約破棄につながらなければ、金額が少額になる可能性があります。
また、個別事情に応じて慰謝料の金額に開きがあります。

5.慰謝料以外にも請求できる損害がある

浮気を理由に婚約破棄をする場合、慰謝料に加えて以下の金員を請求できる可能性があります。

(1)結納金

最近では少なくなっているかもしれませんが、日本において男性側から女性側に結婚することを前提として、一定金額を送る習慣があります。
婚約破棄となった場合は、結納金の返還が必要となります。

(2)結婚式場のキャンセル料

浮気が原因で婚約破棄となった場合は、式場のキャンセル費用を損害として、パートナーに請求することが可能です。

(3)新居への引っ越し代

二人の新生活のために引っ越しを行っていた場合には、再度生活の拠点を替え引っ越しが必要となるケースもあります。
その場合、新たな引っ越し費用について損害として請求することも可能です。

(4)家具や家電の購入費用

新居の家具や家電について購入したものについては、損害として賠償が認められるケースがあります。
ただし、家電等は減価償却があることから購入代金そのものではなく、一部減額した金額が損害として認められることが多いです。

6.慰謝料請求のポイント

慰謝料請求を行ったところ、パートナーや浮気相手が婚約の成立等、争ってくることは多々あります。
婚約は入籍と異なり、書面がないことが一般であり、婚約の成立を立証することが困難な場合があります。
そこで、婚約中の浮気に関する慰謝料請求では、婚約中であることを示す客観的証拠の存在が重要となります。
浮気そのものの客観的証拠も慰謝料請求にあたって重要となります。

(1)浮気の証拠

  • 強力な証拠

パートナーが浮気相手とデートをしたり、抱き合っているだけでは慰謝料が発生しうる「性行為を含む浮気」には当たらない可能性が高いです。
そのため、性行為を行ったと強く推認できる客観的証拠が必要となります。
一般的にパートナーと浮気相手がやり取りしたLINEやメールラブホテルに入る様子を写した写真等が、強力な証拠として挙げられます。

  • こんなものも証拠にできる

ラブホテルの会員カード自動車に搭載されたナビの履歴等、浮気を認めたパートナーの発言を録音したものパートナーが浮気相手と訪れた飲食店等のレシート等も浮気の証拠となることがあります。

  • 婚約成立の証拠

婚約ではなく、自由恋愛における交際相手にすぎない場合は、浮気をしても慰謝料発生が認められないことから、婚約関係が証明できるかが、慰謝料請求において重要となります。
証拠となりうるものとして、婚約指輪や結婚指輪の購入(指輪そのもの、指輪のギャランティー、領収書等)結婚式場の予約を示す資料(手付金を入れているか等)結納を実施していればその際の領収書写真等、結婚の意思を示した当事者間のLINE・メール等、が挙げられます。
実務においては、色々な証拠を積み重ねることで婚約を立証することが多いため、それほど重要じゃないかなとご自身が思うような資料であっても、弁護士に相談する際には提出してみてください。

  • 浮気相手が婚約を知っていたことについての証拠

浮気相手に慰謝料請求を行ったところ、「婚約していたなんて知りませんでした」と反論されることがよくあります。
単なる交際であれば、法的に慰謝料が発生しないことから、そのような発言を行うことはよくあります。

では「婚約を知っていたこと」についてどのような証拠が必要となるのでしょうか。
この点、浮気相手も同じ職場で、かつ職場にも婚約を報告し多くの人が知っているような状況であれば、婚約を知らなかったとする反論は通りにくいかと思います。
とはいえ、そのような場合であってもしらを切る場合があることから、実務では、パートナーと浮気相手のLINEやメールのやり取りを証拠とすることがあります。

7.弁護士に相談するべき理由

婚約中の浮気について、慰謝料請求が可能である一方、請求において①婚約成立の証拠②浮気の証拠③浮気相手が婚約の事実を知っていた証拠を集めることが重要となります。
また、個別事情により慰謝料額に開きがあることから、適切な慰謝料額の請求を行うには、専門家のアドバイスが必要となる場面も多々あります。
さらに、以下の観点からも、婚約中の浮気に関する慰謝料請求において、専門家である弁護士への相談をお勧めいたします。

(1)適切な慰謝料額の請求ができる

婚約中の浮気に関する慰謝料額は、個別事情により大きな開きがあります。
相場と大きく乖離した金額を請求すると、場合によっては不当な請求であるとしてパートナーや浮気相手が支払いを拒絶する等、交渉がとん挫することもあります。
そのため、適切な慰謝料額を算定し、円滑に交渉を進めるためにも、専門家である弁護士へのご相談をお勧めいたします。

  • パートナーや浮気相手と話し合うストレス軽減

婚約中の浮気といったパートナーによる裏切り行為により精神的に大きく傷つけられた上、一人で問題を抱えて対応することは精神的にも疲弊します。
また当事者同士が直接協議することは、精神的負担も大きくなり、場合によってはパートナーに言い負かされる可能性もあります。
一人でそこまで大きな精神的負担を抱える必要はありません。
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたにかわって相手方と交渉し、相手方と直接協議をすることによるストレスが大幅に軽減可能となるでしょう。

  • 交渉を有利に進めやすい

当事者同士が直接話し合うことで感情的となり交渉がまとまらないケースもあります。
またどの程度慰謝料を請求すれば、当事者のみでは分からないこともあります。
その点、弁護士であれば各種裁判例を踏まえたうえで、相談者のケースであった慰謝料額の請求等を行うことが可能となることから、交渉を円滑に進めるためにも専門家である弁護士に相談されることをお勧めいたします。

8.まとめ

婚約中の浮気に関してパートナーや浮気相手に慰謝料請求を行うことは可能です。
とはいえ相手方が婚約成立や慰謝料額等を争うことも十分考えられることから、請求にあたりしっかりと準備を行うことが重要です。
弊所では、入籍後の浮気に関する慰謝料請求の他、婚約期間中の浮気や婚約破棄等、様々な事案を多く扱っています。
婚約中の浮気に関する慰謝料請求等でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは一度弊所までご連絡下さい。