導入検討中の「共同親権」とは?

2024/2/7

1 はじめに

⑴ 話題の「共同親権」

離婚にあたり、子の親権をめぐって争うことも少なくありません。
そんな中、日本において導入が検討されていた「共同親権」について、令和6年1月30日付で、法制審議会(国会で法律を定める前に、法案等の内容につき調査・審議する機関)にて、要綱案が取りまとめられました。
一部報道では、今国会で共同親権を含む改正案が提出される見込み、とされています。今回は話題にも上った「共同親権」について、ご紹介いたします。

⑵ 現行制度

現在の民法では、婚姻期間中には父母ともに親権者となります(これを「共同親権」といいます。)。
一方、離婚を行えば、夫婦のいずれかのみが親権者となる、いわゆる「単独親権」となり、他方配偶者は、親権者でなくなります。
日本のように単独親権を規定している国は、インドやトルコと少数であり、多数の国で共同親権が認められています。
このような背景や、離婚に伴う子の養育への影響、子育て等の多様化等を踏まえて、日本においても「家族法」を見直す議論が長期にわたって行われてきました。

2 令和6年1月30日付法制審議会の要綱案について

⑴ 親権を行使できるのは誰?

「共同親権」において、必ず父母の合意がなければ親権が行使できないというものではありません。
父母が共同して親権を行使するのが原則としつつ、子の日常に関する決定については父母が単独で親権を行使することができます。
また、急迫の事情が認められる場合は、単独で親権を行使することも可能となります。

⑵ 離婚後の単独親権・共同親権の決め方

離婚後の単独親権・共同親権の決め方について、要綱案では、

① 離婚協議の際に、共同親権とするか、単独親権とするのか、父母が決める。

② 共同親権か、単独親権か、父母の協議で定まらない場合は、父母の請求により、家庭裁判所が判断する。

③ 家庭裁判所が判断する際には、この利益のため、父母と子の関係、その他の一切の事情を考慮しなければならない。またアイのいずれかに該当するときは、父母の一方を親権者と決めなければならない。

  ア 父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
  イ 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受ける恐れの有無等から、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

と定め、離婚後かならず共同親権となるとは限らず、あくまでも単独親権か共同親権か、選択肢が増える、こととなります。

⑶ 決められない時はどうするの?

父母の協議が整わず、裁判所が単独もしくは共同親権いずれかを決める際には、親同士や親子関係等も考慮し、特にDV等や子への虐待の恐れがある場合、単独親権にしなければならない、とされています。
また、共同親権の場合であっても、急迫の事情があれば、父母のいずれか単独で親権を行使でき、さらに、裁判所が子の利益のために必要があると認めるときは、子や親族からの請求で親権者を変更することが可能、となります。

⑷ 子の利益の確保

離婚後、単独親権となり、非監護親が子に会えなくなるケースもあることから、共同親権が選択可能となることを評価する人がいる一方、DV被害を受けている人が共同親権を配偶者から強要され、子の利益を害する恐れがあるとして、共同親権導入に反対する人もおり、共同親権に対する考えは様々です。

そのため、法制審議会では、共同親権を導入するだけでなく、子の利益を確保するため、

■親権の有無にかかわらず父母が負う責任や権利義務等を明確にすること

■親権の性質を明確化すること

を前提としたうえで、

■法定養育費制度(離婚の際に養育費の取り決めをしなかった場合でも、一定額の養育費を請求できること)を制定

■家庭裁判所が面会交流を試しに行うよう促すことが可能に

■父母だけでなく、祖父母等も面会交流を求める審判を家庭裁判所に請求することが可能に

■養育費等の不払いに対する差押手続きの負担軽減

■財産分与の期間制限(離婚後協議する場合、これまで離婚後2年以内と規定)を5年に延長

といった法改正案も盛り込みました。

なお、法制審議会の一部委員からは「共同親権」導入に当たり、家庭裁判所の役割がこれまで以上に重要となることから、家庭裁判所の機能向上のため、研修・人員体制の強化を行うとともに、そのための財源確保を行う必要があるとも指摘されています。

3 今後について

法制審議会での要綱案が定まりましたが、実際に法改正されるのか、既に離婚が成立し、親権や養育費が定まっているケースにも適用されるのかは定まっておらず、これから注視が必要となります。

「共同親権」導入をはじめとする民法(家族法)改正については、随時、弊所ウェブでもご紹介していく予定です。

離婚の際の親権等でお悩みの方には、今後の法改正の動向も踏まえて方針を検討することも可能ですので、一度弊所までご相談下さい。