不当に財産を減らした場合の免責不許可事由について

2019/9/2

1はじめに

こんにちは。

前回に引き続き、免責不許可事由についてのお話です。

2免責不許可事由~不当な破産財団価値減少行為~

免責不許可事由を定めた破産法252条1項1号では、「債権者を害する目的で,破産財団に属し,または属すべき財産の隠匿,損壊,債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと」が免責不許可事由に該当するとされています。

この行為は、総債権者に対する、責任財産の悪質な侵害行為であって、この行為を行った者に免責を認めることは、社会常識や社会正義に反するため、不許可事由とされています。

 

以下、詳しく見ていきましょう。

(1)「債権者を害する目的」

「債権者を害する目的」とは、特定の債権者を害する目的ではなく、総債権者を害する目的のことをいいます。

(2)「破産財団に属しまたは属すべき財産」

「破産財団に属しまたは属すべき財産」とは、破産管財人が現に管理している財産をいうのではなく、破産法の定める財団のあるべき姿である法定財団に属する財産のことをいいます。このなかに、自由財産や、新得財産は含まれません(新得財産とは、破産者が破産手続き開始後に新たに取得した財産のことをいいます。)。

(3)「隠匿」

「隠匿」とは、債権者あるいは破産管財人に対して、財産の発見を不能または困難にすることをいいます。

たとえば、財産の場所を移動させてどこにあるのかを分からないようにする行為や、仮想の契約によって他の者に表面上所有権を帰属させるような行為も「隠匿」に含まれます。

(4)「損壊」

「損壊」とは、物質的に破壊してその効用を失わせる一切の行為をいいます。

(5)「債権者に不利益な処分」

「債権者に不利益な処分」とは、隠匿、損壊と同程度に総債権者に絶対的な不利益を及ぼすような態様での財産の処分をいいます。

法外な廉価販売、贈与、債権等の放棄などがこれに当たります。

たとえば、100万円の価値のあるものを、10万円で友人に売った場合、本来であれば100万円が破産財団に組み込まれ、破産債権者に配当されるはずだったものが、10万円しか破産財団に組み込まれないことになります。

この場合、破産債権者が不利益を受けるため、「債権者に不利益な処分」となります。

また、特定の債権者に対する優先的な弁済がこれに該当するかについて、判例は、この弁済が履行期にある債務の弁済である場合は、債権者間の公平を破ったものに過ぎないので、該当しないと判断しています。

(6)「その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」

「その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為」とは、上記以外の総債権者を害する行為であって、たとえば、虚偽に財団債権や破産債権を負担して破産財団の負担を不当に増加させる行為をいいます。

3おわりに

以前にもお伝えしたように、免責不許可事由に該当した場合であっても、裁量的免責許可の決定がされることがあります。

 

自己破産を含めた債務整理をお考えの方で、自分のした行為が免責不許可事由に該当するのではないか、裁量的免責許可の可能性があるのかなど、自己破産に関してご不安、お困りの際には、是非弊所にご相談ください。

 

なお、弊所では、債務整理のご相談の場合、初回無料となっております。

 

 

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