別居、離婚しても子どもに会いたい!面会交流

2023/3/28

面会交流権とは、離婚等の理由で子どもと別居する親が子どもと面会する権利をいいます。

離婚成立後、日本では母又は父のいずれかが単独で親権者となります。

多くの場合は親権者である親と子どもが同居し、親権者でない親(非監護親)は別居することから、そのような場合に非監護親が子どもと定期的に面会できるかが問題となります。

民法766条1項では、

「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」

と、離婚の際に定めるべき事項と規定されています。

同条では「子の利益を最優先に考慮しなければならない」とも規定されていることから、面会交流権は親の権利のみならず子どもの権利ともいえます。

1面会交流の種類

一般的に面会交流は子どもと直接会う、いわゆる直接面会が主流です。しかし、遠方であったり、心理的葛藤が高い場合等直接面会が困難な場合には、Webを利用した面会交流、手紙や写真をやり取りする方法等、臨機応変に対応することが可能です。
では、どのような方法で面会交流の実施内容を決めていくのでしょうか。

(1)一般的な面会交流

一般的な面会交流は、非監護親が子供と直接会う方法で実施されます。
いつ、どこで、何時間会うのかといった具体的な条件は、父母間で協議可能であれば話し合いにより決めることとなります。

(2)試行的面会交流

面会交流の条件が定まっていない場合や、しばらく面会交流を実施していなかった場合、面会交流調停の中で、調査官という専門家が立ち合い家庭裁判所内で面会交流が実施される場合があります。
このような面会交流を試行的面会交流と言いますが、非監護親が子どもにどのように接するのか、子どもが非監護親に対してどのように応じるのかを観察し、子どもの非監護親に対する気持ち等を観察・調査すること非監護親が面会でどのように接するか、子どもの非監護親に対する気持ち、面会交流についての意思を観察、調査することを目的として行われます。
試行的面会交流は、原則として調停の中で1回限り、家庭裁判所の中の部屋で行われ、調査官という専門家が事前に双方にヒアリングを行い、面会交流の様子を直接見て、調査官報告書が作成されます。調査官報告書は調停や審判の中で重要な判断材料となります。

(3)間接面会交流

直接会う面会交流が難しい場合は、監護親が非監護親に写真を送ったり、非監護親と子どもとの間で電話や手紙のやり取りを行う間接面会交流があります。
またコロナ禍で子供達もインターネットを使う機会が増えたことから、Webシステムを使用した面会交流もあります。

2面会交流の決め方

まずは、話し合いによって面会交流の頻度、時間、実施方法等、ルールを定めます。予め決めておいた方がよいものとして

①面会交流の方法(直接面会、Web、電話など)

②面会交流の頻度(月●回、など)

③面会交流時間

④子どもの受け渡し場所

⑤面会交流関する連絡手段

があげられます。

面会交流について協議する際に最も重要なことは、「面会交流は子どものためのものでもある」点です。離婚に関して感情的になることも多いですが、面会交流については子どもの気持ちを最大限に尊重して定める必要があります。

3面会交流についての調停や審判

当事者同士で協議ができない場合は、家庭裁判所に面会交流調停又は審判を申し立て裁判所の手続きの中で定めることとなります。調停の場合は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、審判の場合は子どもの住所地を管轄する家庭裁判所となります。
面会交流は、多くの場合監護親の協力が必要となることから、その大半は調停で協議されます。
しかしながら、どうしても調停において双方の合意ができない場合は、審判を行うこともあります。

家庭裁判所調査官による調査(調査官調査)

調停において、なかなか双方の意見が合わない高葛藤のケースでは、子どもの様子を見てどのような面会交流が最適か調査・判断する家裁調査官が担当する場合があります。
調停において調査官調査がされるか、またどのような調査が実施されるかについては、裁判官が判断するため、当事者からの調査官の指定はできません。
しかしながら、調査官は中立的な立場で観察・判断することから、相手方が面会交流を頑なに拒否している場合には、調停委員会に調査官調査の実施を行ってもらうよう、打診するのもよいかと思います。

4面会交流の決定時期

面会交流は離婚協議の中で決めることもありますが、離婚前に別居をする場合は、離婚に先行して面会交流の条件を決めておいた方がよいです。
別居から離婚協議成立まで時間がかかるケースが多く、その間子どもと長期間会えなくなると、非監護親だけでなく子どもにも負担がかかります。
また、離婚協議が紛糾すると、相手方に子どもを会わせたくないと考え、面会交流が難しくなる場合もあります。
そのため別居を伴う場合は、できるだけ早い段階で面会交流の内容を決めておいた方がよいです。
早い段階で面会交流の条件が定まらない場合であっても、離婚が成立すると、相手方と連絡が取れにくくなる場合もあることから離婚協議成立の時までには定めておくことをお勧めします。

5面会交流にかかる費用

面会交流には、面会場所によっては交通費、食費、遊び場の利用料金など費用が発生します。
費用の負担については法的に定まっていませんが、予め双方で協議しておいた方がトラブル防止のためよいです。
第三者の支援機関等を使用する場合には、機関の使用料金の負担について予め決めておかなければ利用できないケースが多く、双方での協議が必要となります。

6面会交流の約束を守ってもらえない!

面会交流の条件を定めたにもかかわらず、実施されない(又は途中から実施されなくなった)というケースは多々見受けられます。
突然子どもとの交流が断絶されると非監護親としては到底許容できるものではありません。
このように約束を反故された場合、①弁護士に委任して代理交渉、②面会交流調停の申立て、③履行勧告、④間接強制、といった法的措置をとることが可能です。

(1)面会交流調停

これまで調停で面会交流の内容について定めておらず、現時点で任意の協議も難しい場合は、協議をするためにも面会交流調停を申し立てることとなります。

(2)履行勧告

既に面会交流調停において定めた内容があるにもかかわらず、面会交流が実施されない場合、裁判所を通して相手方に勧告をしてもらう方法があります。
裁判所から勧告がなされると、勧告とともに相手方に面会できない理由について書面で開示するよう指示があり、相手方から書面が提出されることがあります。
履行勧告後、双方で任意に協議が行えれば改めて面会交流の内容を定めることも可能です。
一方で、履行勧告をしても相手方が面会交流に応じない場合で、かつ間接強制を利用することも可能です。

(3)間接強制を利用する

間接強制とは、面会交流に応じない監護親に対して、「面会交流に応じない場合は1日●円」といった制裁金を課すことで、面会に応じない監護親に心理的圧迫を加えて自発的に面会交流の履行を促す方法をいう。
なお、面会交流の方法について、いつ、どこで、どのように子どもを引き渡して、何時間会うのかといった具体的な諸条件が定まっていなければ間接強制の実施は困難であることから、将来的に間接強制の可能性もある場合は、面会交流の実施内容について詳細に決めておいた方がよいでしょう。

7面会交流は直接強制できない

面会交流が実施できない場合、間接的な強制方法として間接強制を取りうるとしても、無理やり子どもを連れてくるといった強制はできません。
そのため、審判で面会交流の内容が定まったとしても、監護親が拒否をして子どもに会えないケースもあります。
特に離婚協議中は相手方に対する不信感などがあることから、面会交流に消極的になる監護親も多いです。
当事者同士で子供の引渡しが困難等、面会交流の際に双方で顔を合わせるのが嫌、という人もいるかと思います。
そのような場合には、以下の第三者機関の利用も検討してみてください。

8ハッピーシェアリング(https://takiilaw.com/menkaikouryu-happysharing/

日本全国に面会交流支援団体は数多く存在し、大阪においても複数の団体が活躍しています。
その中でNPO法人ハッピーシェアリングは、「離婚してもパパとママ」をモットーに面会交流支援活動等を行っています。
弊所代表及び弁護士、当会メンバーとなり、面会交流支援システムを利用して、面会交流を進めている方も多数いらっしゃいます。
当事者同士だけでは面会交流を進めることが難しいという場合は、第三者機関の利用も検討してみてください。

9まとめ

面会交流を求める側も、求められる側も、色々お悩みは尽きないものです。面会交流でお悩みの方は、離婚・面会交流に関して経験豊富な弁護士がいる弊所まで一度相談下さい。