「相続させる」遺言について

               

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「相続させる」遺言について~遺言書に使う言葉の重要性~

1 はじめに

 こんにちは。弁護士の李です。

 

 前回までの記事では、

 ①終活と遺言書

 

 ②自筆証書遺言の一般的な書き方・訂正方法

 

 ③自筆証書遺言の新ルール(平成31年1月13日スタート)

 

について、下のような記載例をいくつか挙げながら、簡単に説明してきました。

 

 

 上の記載例では、「相続させる」という言葉が使われていますよね。実は、この言葉を使っているのには、ちゃんとした理由があります。

 

 今回は、この「相続させる」という言葉を使った遺言(=「相続させる」遺言)について、簡単に説明します。

 

2 「相続させる」遺言の効果

 

⑴ 基本

 

 現在のルールでは、特定の財産を特定の相続人に「相続させる」遺言をした場合には、特段の事情がない限り、遺言者が亡くなると直ちに、特定の相続人がその財産を取得する、という扱いになっています。

 

 上の記載例だと、甲野太郎さんが亡くなると、花子さんは特別な手続をしなくても(注)、大阪市の土地を相続によって取得する、ということになります。

(注) 自筆証書による遺言書などの場合には、「検認」という、遺言書の状態を確認する手続が必要です。

 

⑵ 第三者が現れた場合

 

 仮に、太郎さんには、花子さんのほかに長男の一郎さんという相続人がいたとしましょう。この場合、一郎さんが、遺言書の存在に気付かずに、土地について自分には2分の1の権利があると考えて(注)、その権利を知り合いの乙川冬美さん(第三者)に売ってしまうことがありえます。

(注) 遺言書がなければ、花子さんと一郎さんは2分の1ずつ、土地の権利を取得します。

 

  

 しかし、土地については「相続させる」遺言がされています。したがって、冬美さんという第三者が現れた場合でも、花子さんは土地の完全な所有権を取得できるのです。

 

 このように、「相続させる」遺言には、①遺言者とっては、自分の意思を確実に実現できるメリットが、②相続人にとっては、特別な手続なしで財産を取得できるというメリットがあるとされていました。

 

3 新ルール(平成31年7月1日スタート)による影響

 

 平成30年7月の法改正により、「相続させる」遺言の効果について、新ルールが出来ました。新ルールは、平成31年7月1日からスタートします。

 

 上の例を使ってごく簡単に説明すると、花子さんが土地について登記手続をせずに放っておいた場合には、先に登記手続をした冬美さんが権利の2分の1を取得することを認めざるを得なくなる、ということになります。

 

 このように、平成31年7月1日以降は、「相続させる」遺言だからといって安心しきってしまうのはリスクが高いといえます。遺言書を作成する場合は、その後のことも見据えて、可能な限り、ご家族やご親族とコミュニケーションをとっておかれることをお勧めします。

 

4 まとめ

 

 いかがだったでしょうか。今回は、「相続させる」遺言について、簡単に説明しました。新ルールによって、今後はこれまでのような強力な効果は認められません。

 

 しかし、「相続させる」という言葉を使うか使わないかによって、法的な効果が大きく変わりうるのだということは、感じていただけたかもしれません。

 

 このように、遺言書にどのような言葉を使うかは、皆さんが思っている以上に重要なポイントになることがあります。

 大まかなイメージはできているけれども、どのように書けばよいのか、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

 そのような場合は是非、弊所にご相談ください。

 

 相続事件の経験豊富な弁護士が、相続に精通した税理士やファイナンシャルプランナー等とも連携し、相談者様のご希望に沿った遺言の方式選択、内容面・形式面等のアドバイスから、節税・相続税対策も含めた総合支援をさせていただきます。  

 

 それではまた、次回の記事でお会いしましょう。

 

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